1.初めに
本ブログでは、様々な用語について調べています。
ジャンルを問わずに疑問に感じた用語について調べては随時まとめているのですが、その中で“○○性”という用語はよく見かけます。
剛性・絶縁性・可逆性…例を挙げたらキリが無いです。
それらを個別にまとめるのも良いのですが、たまに似たような字面をしている癖に意味は全く違う用語があったり、真逆の意味を持つ用語などが存在します。
それらの用語は関連付けて覚えた方が一石二鳥になるので、ここでは「特性や性質を表す“○○性”という用語」の意味を簡単にまとめ、一覧表示してみました。
詳しい説明が必要なものは別途まとめてリンクを設けていますので、そちらをご覧ください。
2.用語一覧
可逆性/非可逆性・不可逆性
ある状態から変化した時、その状態から元の状態に戻すことが可能/不可能な性質のことです。
水を製氷機に突っ込んで氷にしたとして、氷を常温に放置しておくと水に戻りますよね?
これが可逆性があるということです。
逆に、生肉に火を通したとすると、どうやっても火を通す前の状態には戻せませんよね?
これを不可逆性と呼びます。
非可逆性とも呼ばれるようです。
調べてみると不可逆性が正しいと言い切っている方がそこそこ居るようですが、辞書で調べると別に非可逆性でも普通に出てきます。
なので、断定して良いものかは謎です。
個人的には“不可・逆”で“逆行すること自体が不可能”、“非・可逆”で“逆行しても元に戻らない”というイメージを持っておけばいいんじゃないかと思います。
個人的なイメージですし、どちらでも意味は通じるとは思いますけどね。
ちなみに、可逆性は英語で[reversibility]と書きます。
可塑性・塑性
固体に外力を加えた際に変形し、外力を加えるのを止めても元の形に戻らなくなる性質のこと。
読み方は“かそせい”で、単に塑性とも呼ばれます。
粘土を想像してください。粘土はこねると変形し、その形のまま留まるでしょう?
アレが可塑性です。
対義語は弾性です。
あまり使われることは無いですが、人の能力に対しても可塑性という表現を使うことがあるようです。
教育(外力)をすることで成長(変形)する様を当て嵌めているようです。
普通に「伸びしろがある」でOK。
可塑性と弾性は対義語ですが、材料によってはどちらの性質も併せ持つ弾塑性という性質も存在します。
ちなみに、可塑性は英語で[plasticity]と書きます。
可撓性(可とう性)
外部から力を加えた際に柔軟で折り曲げ可能な性質のこと。
弓のように“しなる”性質を持つわけです。
曲げに対する耐性を持つのであって耐久力が高いわけではありませんので、そこは勘違いしないようにしましょう。
あくまで曲がる性質を指しているのであって、弾性とは別物です。
対義語は剛性です。
“撓”という漢字が読みづらいので、“可とう性”と表記されている場合もあります。
“撓”という漢字は”たわむ・しなる・みだす”という意味を持つので、漢字の意味を知っていれば可撓性の意味を想像することも可能です。
ちなみに、可撓性は英語で[flexibility]と書き、意味は[柔軟性]になります。
柔軟性とほぼ同じ意味ですが、可撓性は元の形状に戻ることが難しい場合がありますが、柔軟性は元の形状に戻ることが可能です。
それ以外は全く同じ意味です。
揮発性/不揮発性
常温において液体が蒸発して気体になりやすい/なりにくい性質のこと。
揮発性が高いと言えば蒸発しやすく、不揮発性と言えば蒸発しにくいわけです。
揮発性の本来の意味は蒸発のしやすさになるのですが、IT業界ではちょっと捉え方が変化します。
よく耳にするのが揮発性メモリ/不揮発性メモリです。
簡単に言えば、電源を切った際にデータを全て忘れるメモリが揮発性メモリ、電源を切ってもデータが消えないメモリが不揮発性メモリになります。
揮発性の液体は蒸発して無くなるので、揮発性のメモリもデータが蒸発(消滅)するわけです。
本質的な意味は変わりませんね。
ちなみに、揮発性メモリと不揮発性メモリでは、動作スピードが違ってきます。
揮発性メモリの方が動作が速く、不揮発性メモリの方が動作が遅いです。
例えば、CPUの演算処理をサポートしたりするためには動作の速い揮発性メモリが使用され、画像や音楽などを長期保存しておくためには不揮発性メモリが用いられます。
剛性
外部から力を加えた際に形状変化が起きにくい性質のこと。
曲げたり捻じったりしようとしても、剛性のある物質は変形しにくいです。
対義語は可撓性(可とう性)です。
似たような用語として挙げられるのは強度です。
一見同じような意味に取れますが実際は別物で、簡単に言えば、剛性は変形しにくさ、強度は破壊しにくさを表します。
わかりやすい例は糸や髪の毛です。
糸や髪の毛って引っ張ってもそうは千切れない(破壊されない)けど、変形させることは簡単でしょう?
つまり、強度は高いけど剛性は低いのです。
ちなみに、剛性は英語で[stiffness]と書きます。
柔軟性
外部から力を加えた際に柔軟で折り曲げ可能な性質のこと。
ほぼ可撓性(可とう性)と同じ意味ですが、柔軟性は元の形状に戻ることが可能ですが、可撓性は元の形状に戻ることが難しい場合があります。
それ以外は全く同じ意味です。
ちなみに、柔軟性は英語で[flexibility]と書きます。
冗長性(リダンダンシー)
必要最低限な状態に対して余分なものがある状態のこと。
※冗長性(じょうちょうせい)、リダンダンシー[redundancy]。
リダンダンシーがあると言えば余分がある状態、リダンダンシーが無いと言えば余分が無い状態を表しているわけです。
ただ、場合によっては“余分”ではなく“余裕”や“備え”…マージンという良い意味で使われている場合もあります。
どちらにしろ意味するところは最低限+αの“+α部分”であることに変わりはないので、文脈から良い意味で使用しているのか悪い意味で使用しているのか判断するようにしましょう。
弾性
固体に外力を加えた際に変形し、外力を加えるのを止めると元の形に戻る性質のこと。
ゴムボールなんかは圧力を加えて変形させても、圧力をかけるのを止めると元の形に戻るでしょう?
アレが弾性です。
弾性を持つ材料を限界まで引っ張ると破断します。
対義語は可塑性です。
弾性と可塑性は対義語ですが、材料によってはどちらの性質も併せ持つ弾塑性という性質も存在します。
ちなみに、弾性は英語で[elasticity]と書きます。
弾塑性
弾性と可塑性を併せ持った性質のこと。
固体に外力を加えた際に変形し、外力を加えるのを止めた時に元の形に戻ったり戻らなかったりする。
力をどんどん加えていった際、ある地点までは弾性(※元に戻る)を持ち、ある地点からは可塑性(※元に戻らない)を持つようになります。
鉄筋コンクリートや木なんかが弾塑性材に当たります。
ちなみに、弾塑性は英語で[elastoplasticity]と書きます。
物性
電気伝導率や熱伝導率といった物理的な特性のこと。