【基礎から学ぶ情報技術】 MACアドレスとIPアドレスの違いとは?

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私の専攻は電気系なのですが、電気電子系の仕事とIT系の知識は切っても切れない存在となります。
回路設計をしても、それを動かすCPUはソフトウェアが無いと動かないですからね。
本記事は、IT系の分野で疑問を持ったり知っておいた方が良いと個人的に思った内容についてまとめたものとなります。

今回は、「MACアドレスとIPアドレスの違い」についての説明です。

1.初めに

ネットワーク機器に割り当てられた固有の識別番号のことをMACアドレスと言います。
なんとなく意味はわかるかと思います。
ネットワーク機器ごとに番号が割り振られているから、その番号を指定してあげればデータの通信が滞りなく行われるわけです。

それに対して、コンピュータやネットワークを識別するための住所のことをIPアドレスと呼びます。

MACアドレスとIPアドレス…違いはわかりますか?

ネットワーク機器の番号とネットワークを識別するための住所のようなもの…なんか同じに思えますよね?
実際、ある意味では同じような意味なのですが、この2つには明確な違いがあります。

今回は、意味が混同されやすいMACアドレスとIPアドレスの違いについて簡単にまとめてみました。

2.アドレスとは?

MACアドレスとIPアドレスの違いの説明の前に、『そもそもアドレスって何?』という部分を説明しておきます。

アドレス[adress]とは、住所や番地を表す英単語です。
IT業界には、メールアドレス・IPアドレス・MACアドレスなど、様々なアドレスが存在します。
何れのアドレスも、何かしらの位置情報を表す文字列のことを指しています。

例えば、メールアドレスならメールをどこに送るのかという宛先(相手の位置情報)を表していますし、IPアドレスなら世界中に広がるインターネット上のどこにあるサーバなのかを表しています。
要するに、インターネットに繋がっている数あるコンピュータには住所が割り振られているので、その住所宛に通信を行うことで本ブログのようなページに辿り着くわけです。

他には、メモリ領域のこともメモリアドレスと呼んだりします。
メモリ内のどこにデータを収納しているのかをアドレスという形で表現するわけです。

このように様々なアドレスがあるわけですが、日常会話において○○アドレスのことをただ単にアドレスと略して使用してくる人もいますので、その場合は文脈から何アドレスを指しているのか推測してください。

3.MACアドレスとは?

IPアドレスに関しては過去の記事で別途まとめてあるので、以下の記事をご覧ください。

ここでは、MACアドレスについて説明していきます。

MACアドレスの“MAC”とは、[Media Access Control]のことです。
そのまま訳すと[メディアのアクセスを制御するアドレス]になります。
ここで言うメディアは”情報を伝達するもの”を指していて、ネットワーク機器に割り当てられた固有の識別番号のことをMACアドレスと呼びます。

例えば、PCやルータの場合は有線LANと無線LANにそれぞれ別のMACアドレスが割り振られていますし、スマートフォンやゲーム機なんかにもMACアドレスが割り振られています。
何かしらの通信機器には全部割り振られているんです。

MACアドレスは通常12桁の16進数で表現されます。

A1:B2:C3:D4:E5:F6

上記のような数字の羅列になっています。
「:(コロン)」の場合もあれば、「-(ハイフン)」の場合もあるようです。

前半の6桁(A1:B2:C3部分)は製品のメーカを表すアドレスで、ベンダーIDと呼びます。
後半の6桁(D4:E5:F6)が製品に個々に割り振られたアドレスとなっています。
「A1:B2:C3」から始まるMACアドレスを持つ製品は、全て同じメーカが作った製品だということです
「A1:B2:C3:11:22:33」というMACアドレスを持つ製品と、「A1:B2:C3:44:55:66」というMACアドレスを持つ製品があったのなら、それは同じメーカが作った製品なのです。
ただし、メーカにベンダーIDは1つという制約は無いので、ベンダーIDが異なっても同じメーカの製品という可能性はあります。

後半6桁は重複しないようにしてあるので、ある製品が持っているMACアドレスは唯一無二のものとなります。
ただ、MACアドレスを変更する方法も一応存在するので、もし故意に変更していたら重複する可能性はあります。
工場出荷時点でROMに書き込むので、普通は変更しませんけどね。

WindowsのPCの場合、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「状態」→「ハードウェアと接続のプロパティを表示する」と選択していくと物理アドレス(MAC)という形で表示されているのを確認できます。
有線のイーサネット接続用のMACアドレス、Bluetooth用のMACアドレス、Wi-Fi用のMACアドレス…という具合に、個々の通信ごとに全部バラバラになっています。
要は、特定の通信をするためのポートは全てMACアドレスというわけです。

ちなみに、私は最初OSのMacが関係しているアドレスか何かなのかと漠然と思っていました。
調べてみたら全く関係無かったよ!

4.MACアドレスとIPアドレスは何が違うのか?

今、AさんがBさんに荷物を送ろうとしているとします。
その際、Aさん宅⇒宅配業者拠点1→宅配業者拠点2→Bさん宅という経路で荷物が運ばれたとします。
この関係をMACアドレスとIPアドレスに置き替えると、宅配業者拠点1・宅配業者拠点2・Bさん宅の位置情報がMACアドレスで、最終的な送り先であるBさん宅の住所がIPアドレスです。
荷物が何かしらのデータに当たります。
なんとなく違いはわかったのではないでしょうか?

要するに、IPアドレスは最終目的地の住所を指していて、MACアドレスは実際に経由していくポイントの住所を指しているわけです。
荷物に貼り付ける送り状に書かれている住所はIPアドレスに当たり、荷物を拠点間で受け渡すためにトラックの運転手が気にする住所がMACアドレスに当たるというイメージです。
住所を指しているのは同じでも、意味するところは全く違うでしょう?

また、各経由地点としては最終的な送り先がわかっても、どこの誰から依頼されて送られてきた荷物なのかわからなければ荷物を受け取るわけにはいきませんよね?
なので、最終的な送り先(IPアドレス)だけでは荷物(データ)の受け渡しができません。
経由する隣接した地点同士で情報を照合する必要があるのです。
そのためにMACアドレスが必要とされています。

5.実際の通信に沿って考える

MACアドレスとIPアドレスの違いのイメージは大体わかったと思いますので、実際の通信に沿って考えてみます。

PC1とPC2がルータ1及びルータ2を経由してインターネット上で繋がっているので、データの通信ができるようになっていたとします。

図1

この時、PC1からPC2にデータを送ろうとした場合、データを渡す相手はPC2だという情報はIPアドレスから取得できるわけです。

ですが、先程述べたように、IPアドレスでは実際の送り先はわかっても経路はわかりません。
なので、隣接する機器同士でMACアドレスを確認しながら順番にデータを送っていきます

PC1のMACアドレスAとルータ1のMACアドレスBを確認
⇒ルータ1のMACアドレスCとルータ2のMACアドレスDを確認
⇒ルータ2のMACアドレスEとPC2のMACアドレスFを確認

こうすることでPC1からPC2へデータを送ることができるのです。

図1を見ていて違和感はありませんでしたか?
ルータを経由する時になんかMACアドレスが2つありますよね?
これが何を意味しているのかと言うと、MACアドレスが指しているのはデータの出入口に当たるポートだということです。
有線LANで繋いでいれば有線LAN用のMACアドレスが割り振られていますし、Wi-Fiで繋いでいればWi-Fi用のMACアドレスが割り振られているのです。
なので、PCとルータを繋ぐLANとルータとルータを繋ぐWANではMACアドレスが別々になっているんです。

以上、MACアドレスとIPアドレスの違いについてでした。