今回は、「炭水化物」についての説明です。
1.炭水化物の基本
炭水化物・たんぱく質・脂質は三大栄養素と呼ばれ、生きていく上で特に重要な栄養素です。
炭水化物は炭素と水素の化合物で、いわゆる糖分です。
糖分は大きく分けると糖類・オリゴ糖・多糖類の3つになり、糖類とオリゴ糖は糖質、多糖類は食物繊維と呼ばれます。
糖質と食物繊維の区別は重合度(化合物がどれだけ繋がっているかを表している)に依存していて、重合度が1~2のものは糖類、3~9のものはオリゴ糖、10以上のものは食物繊維という認識です。
つまり、なんかいっぱい結合してるのが食物繊維です。
消化しやすい炭水化物が糖質、消化しにくい炭水化物が食物繊維というのはどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、この重合度が関係してそうですね。
結合がより強固なら分解しづらそうですし。
ちなみに、厳密には体内で消化可能な易消化性炭水化物を糖質、消化不可能な難消化性炭水化物を食物繊維と呼ぶようにしているようです。
消化不可能と言ってますが、食物繊維は一応多少消化されるはずなんだけど…消化不可能とみなしているのかな?
普段私達が摂取している炭水化物はほとんどが糖質に分類され、食物繊維はごくわずかとなります。
つまり、炭水化物はほぼ「糖」と言えます。
「糖」なので体に悪い・太るというイメージを持つ方が多いと思いますが、三大栄養素に含まれるだけあって普通に重要な栄養素です。
炭水化物は分解されてエネルギー源として使用されるので、生命維持・身体活動に必要なエネルギーと密接な関係があります。
エネルギーは炭水化物・たんぱく質・脂質の三大栄養素からおおよその値が算出可能で、各成分は1g当たりの利用エネルギー量(エネルギー換算係数と言い、1[g]当たり何[kcal]に相当するかを定めてある)が決まっていて、以下のように表せます。
エネルギー[kcal]≒炭水化物[g]×4+たんぱく質[g]×4+脂質[g]×9
炭水化物よりも脂質の方がよりエネルギーに変換されますが、代わりに炭水化物(厳密にはブドウ糖)はエネルギーへの変換スピードに優れています。
『ほう、炭酸抜きコーラですか…たいしたものですね』の説明がまさにコレです(笑)
2.糖質ってどんなもの?
糖質は、ブドウ糖(グルコース)・ガラクトース・スクロースなど色々な名前のものがあります。
こんなの名前を憶えてられませんよね?
重要になるのはブドウ糖くらいですので、そこだけ頭に入れておきましょう。
総じて言えることは、どれも体内に吸収されてエネルギー源になる糖分だということです。
では具体的に何のエネルギー源になっているかというと、脳・神経組織・赤血球などが挙げられます。
中でも、脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としています。
その為、ブドウ糖が不足すると脳の判断が鈍くなって注意力が散漫になります。
…ブドウ糖はすぐにエネルギーに変換されると言いましたよね?
逆に言うとすぐに消費されてしまう・体内にほぼ蓄えておけないということなので、定期的に炭水化物を摂取しないとブドウ糖が脳に行き渡らなくなります。
以上の理由から、糖質を摂取するのは身体にブドウ糖を行き渡らせるためと行っても過言ではありません。
一応、糖質は肝臓や筋肉にグリコーゲンという形で少量貯蔵はできます。
少量なのでエネルギー源としては過信できません。
そして、使う分以上に糖質を摂取すると脂肪として蓄えられてしまいます。
ちょうど良い塩梅というのは難しいものです。
ブドウ糖は血液中に存在し、体内を循環しています。
食事をして糖質を摂取すると血液中の糖分が増加して血糖値が高くなりますが、インスリンによって血糖値は低く抑えられます。
逆に、エネルギーを消費して血液中の糖分が減少するとホルモンの働きによって血糖値は高くなります。
このように、血糖値は何かしらの働きで一定の濃度(80~140mg/dl)に保たれるようにできているのですが、調整してくれるはずのインスリンの分泌量が減ったり、インスリンが効きづらくなったり(※内臓脂肪のせい)、ホルモンの働きが悪くなったりすると血糖値が上がり過ぎてしまいます。
これにより陥るのが一般的にいう糖尿病です。
糖尿病になると、血管内の糖が増えすぎて血管が破壊され、栄養素が身体の隅々まで行き渡らなくなり、神経・腎機能などに異常が発生します。
最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞でご臨終です。怖いですねぇ。
血糖値が上がると血液中の糖を体外に出そうとするので尿に糖分が多分に含まれることから糖尿病と呼ぶ…のかな?
何事も“適度”が大切ということですね。
普段の生活で摂取している糖質は以下のようなものがあります。
◎ショ糖
普通に料理に使用するあの砂糖のこと。
◎乳糖
名前通り牛乳などに含まれている。
乳糖を分解する酵素は人それぞれ持っている量が異なる為、酵素が少ない人は乳糖をうまく分解できずに消化不良を起こして腹を壊します(^q^)
だから無理して飲ませるなよ!
◎キシリトール
歯磨きやガムによく見るあのキシリトールのこと。
実はこれも糖質。よく見ると甘味料って書かれてます。
糖質は米やパンにも多く含まれているので、日本で普通に生きていれば大体の人が不足することはないです。
寧ろ、手軽さと安さを重視すると高カロリーの食事になる傾向があるので、過剰摂取を心配した方がいいかもです。(例:パスタ、素麺)
甘いものの摂り過ぎには注意しましょうね。
3.食物繊維ってどんなもの?
糖質と違って体内で消化されにくい炭水化物が食物繊維です。
消化されにくいであって消化されないわけではないです。
糖質と比較してエネルギー変換率が悪い上に炭水化物に占める食物繊維の割合自体が低いので、エネルギー源として考えられていないだけです。
食物繊維にはエネルギー源以外のしっかりとした別の役割があります。
というか、食物繊維は漠然と身体に良いと聞いたことがある人はおそらく多いですよね。
実際の働きはというと、血液中の糖質や脂質の吸収を抑える、腸内の不要なものを便として体外に排出する、腸内の細菌(※いい奴)の働きを活発にする手助けをしてくれます。
また、生活習慣病・がんなどの発症率・死亡率を抑制する効果があるという研究結果も出ているようです。
まあ、あくまで研究結果なのでどこまで本当かはわからないですけどね。
食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがあります。
先程の実際の働きと照らし合わせると、水溶性のものが血液中の糖質や脂質の吸収を抑えてくれていて、不溶性のものが腸の掃除をしてくれます。
水溶性の食物繊維には便を柔らかくして排便を手助けする効果もありますので、摂り過ぎると便が緩くなって便秘になります。
不溶性の食物繊維には便を大きくして腸を刺激して排便を促す効果がありますので、摂り過ぎると便が大きくなりすぎて排出が困難になり便秘になります。
結論:どちらにしろ便秘
便秘に悩まされていたら食物繊維の過剰摂取を疑ってみましょう。
とは言え、炭水化物に占める食物繊維の割合は少ないので、普通の食生活を送っていれば食物繊維の過剰摂取に陥ることはないです。
食物繊維を多く含むと言われている食べ物は以下のようなものがあります。
- 穀物(麦、玄米など)
- いも類(でんぷん)
- ナッツ類(アーモンドなど)
- 豆類
- 野菜類(根菜、ブロッコリー、コーンなど)
- 果物類
- きのこ類
- 海藻類
ちなみに、私の食生活はこんな感じです↓↓
朝:シリアル+魚肉ソーセージor煮干しorフルーツ
昼:煎り大豆+ミックスナッツ各種
夜:豆腐+納豆+肉料理1品or野菜料理1品+漬物
(よく使うもの:玉葱、蓮根、コーン、きのこ類、豆もやし)
…あっ(察し)
また、特定保健用食品の類いの摂り過ぎも便秘のもとです。
『おなかの調子を整える』、『血糖値の気になる方に』、『体脂肪を燃やす』とか耳障りの良い言葉が書いてある傍らに大概『摂り過ぎるとおなかがゆるくなることがあります』という記述があります(笑)
これも食物繊維の仕業です。
幼き頃のあやふやな記憶ですが、「ぐーぴたっ」という空腹時に食べると空腹が収まると謳っていた菓子には『こんにゃくマンナン入ってるもん』というパワーワードと共に『おなかがゆるくなることがあります』の記述があったような気がします。
4.1日当たりの炭水化物必要量
では、実際に1日当たり何[g]程度必要なのかについて考えていきます。
炭水化物は、エネルギー源として使用される主要な栄養素です。
その為、同様にエネルギー源として使用されるたんぱく質や脂質の摂取量を考慮して設定していく必要があります。
なので、炭水化物の場合は1日当たり何[g]必要かではなく、1日に必要な総エネルギー量に対する比率が定められています。
男性女性に関わらず、総エネルギー量の50~65%を炭水化物から補うのが理想です。
1日に必要なエネルギー量は別の記事にまとめてあるので、そこから逆算してください。
大まかな目標量(健康のために最低限摂っておいて欲しい量)は、男性は380g、女性は290gです。
※ 18~49歳で健康な人を対象に、総エネルギー量の57.5%で計算して切りをよくした数値です。
【1日に必要な総エネルギー量】÷4×【比率(0.5~0.65)】で計算できます。
ちなみに、食物繊維は炭水化物とは別に目標量が設定されています。
以下の表で年齢・性別を照らし合わせて自分の条件に合致する箇所を参照して下さい。
その数値が1日当たりの食物繊維目標量[g]です。
性別 | 男性 | 女性 |
年齢 | 目標量 | 目標量 |
0~5ヶ月 | - | - |
6~8ヶ月 | - | - |
9~11ヶ月 | - | - |
1~2歳 | - | - |
3~5歳 | 8以上 | 8以上 |
6~7歳 | 10以上 | 10以上 |
8~9歳 | 11以上 | 11以上 |
10~11歳 | 13以上 | 13以上 |
12~14歳 | 17以上 | 17以上 |
15~17歳 | 19以上 | 18以上 |
18~29歳 | 21以上 | 18以上 |
30~49歳 | 21以上 | 18以上 |
50~64歳 | 21以上 | 18以上 |
65~74歳 | 20以上 | 17以上 |
75歳以上 | 20以上 | 17以上 |
妊婦及び授乳婦の場合は18以上となります。
以上、「炭水化物」についての説明でした。