【基礎から学ぶ指数対数】 対数不等式の注意点 ~底の条件と不等号の向きの関係~

数学
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数学は社会に出るとあまり役に立たないみたいなことを言っている人が偶にいますが、電気系の分野に進むとそうでもないです。
忘れたころに中学・高校で習った内容を思い返す必要がある…ということは微妙にあります。
本記事ではそんな内容の一つである“微分”について、基本からわかりやすくまとめてみました。

今回は、「対数不等式の注意点」についての説明です。

1.初めに

対数方程式というと、log22=1という形式を指しています。
それに対して対数不等式とは、log22<3という具合に不等式(大なり小なり)を使用した式を指しています。
計算方法自体は対数方程式だろうが対数不等式だろうが変わらないのですが、対数不等式の場合は注意点が存在します。

今回は、例を挙げながら対数不等式は何に注意する必要があるのかをわかりやすく解説していきます。

2.底が1より大きい場合の対数不等式

log2(x-3)<4という対数不等式を解いてみましょう。

まず、左辺と右辺を比較するために両辺を対数形式(logの形式)に変形します。
左辺は既に対数形式になっているので、右辺を対数形式に変形しましょう。

右辺を底を2とした対数形式にすると、以下のようになります。

4=4×log22=log224=log216

この状態で左辺と右辺を見比べてみましょう。

log2(x-3)<log2(16)

つまり、x-3<16になっていれば、この不等式は成り立つのです。
よって、この条件を満たすのはx<19ということになります。
これが対数方程式だろうが対数不等式だろうが変わらない計算の考え方です。
そう、計算の考え方は同じなのですよ。
ただし、答えは間違えています。

log2(x-3)の“2”の部分を底と呼び、x-3の部分は真数と呼び、この式の答えのことを対数と呼びます。
log28=3という式があったら、底が“2”、真数が“8”、対数が“3”になるということです。

ここで言う真数なのですが、必ず0より大きくなるんですよ。
log2(-2)なんて数字は存在しないんです。

ということで、真数条件としてx-3>0という関係も満たす必要があります。
この不等式を計算するとx>3になりますよね。
この真数条件と先程の計算結果を照らし合わせる必要があるのです。

よって、log2(x-3)<4という対数不等式の解は、3<x<19となります。
これが注意点その1です。

3.底が0より大きく1より小さい場合の対数不等式

次は、log0.5(x)<2という対数不等式を解いてみます。

計算方法は先程の例と変わりません。
右辺も対数形式に直しましょう。

2=2×log0.5(0.5)=log0.5(0.25)

この状態で左辺と右辺を見比べてみましょう。

log0.5(x)<log0.5(0.25)

真数条件はx>0なので、解は0<x<0.25になるわけです。
違和感無くこの解を導く方がいそうなものですが、実はこれも答えが間違えています。

試しに元の式に0<x<0.25の範囲を逸脱したx=0.5を代入して見ると、log0.5(0.5)=1<2となりますので、この不等式を満たしていることになるでしょう?
何故こんなことになるのか説明していきますね。

例えば、log22とlog24では、log22=1及びlog24=2という関係から、log22<log24になることがわかります。

では、log0.5(2)とlog0.5(4)ならどちらが大きくなるでしょうか?
この場合、log0.5(2)=-1及びlog0.5(4)=-2という関係から、log0.5(2)>log0.5(4)となります。
要は、底が0~1の範囲内になっていると、対数が自ずとマイナスの符号になるんです
だから、底が0より大きく1より小さい場合、不等号の向きを反転させて考える必要があります。

よって、真数条件x>0とx>0.25の両方を満たすx>0.25が解となります。
なんとなく真数の大小だけで符号の向きを決めないように注意しましょう。

ここで説明した性質をまとめると、以下のような関係になります。

不等号が「≦」または「≧」になってもこの関係は変わりませんので、その点はご安心を。

以上、対数不等式の注意点についての説明でした。