【基礎から学ぶ微分】 そもそも微分とは何なのか?  ~ある点の傾きを求める方法~

数学
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数学は社会に出るとあまり役に立たないみたいなことを言っている人が偶にいますが、電気系の分野に進むとそうでもないです。
忘れたころに中学・高校で習った内容を思い返す必要がある…ということは微妙にあります。
本記事ではそんな内容の一つである“微分”について、基本からわかりやすくまとめてみました。

今回は、「そもそも微分とは何なのか」についての説明です。

1.微分とは?

中学高校の数学で微分というものを習ったかと思います。

微分[differential]とは、一次関数や二次関数などのある点の傾き(変化の割合)を求めることです。
要は、接線の傾きのことです。

横軸x、縦軸yの平面上に単位円(半径1の円)があったとします。

図1

計算せずとも、点Aの接線はx=1、点Bの接線はy=1、点Cの接線はx=-1、点Dの接線はy=-1だとわかります。
これらの結果を計算で求めることができるのが微分です。
円を表す式がわかっているのなら、点Aと点Bの間にある任意の点の接線の傾きでも求められるのです。

例えば、単位円は二次関数でx2+y2=12という式で表せます。
この式を変形すると、y=√(1-x2)になります。
この式を微分したら円上の任意の点の接線の傾きが求まるわけです。

2.傾きという考え方

例として、一次関数のy=2xについて考えてみましょう。

X=1の時はy=2、x=2の時はy=4、x=3の時はy=6と変化していくので、xが1増加したらyが2増加するという関係はy=2xという直線上で変わることはありません
この変化量が傾きです。
傾き=yの増加量÷xの増加量ということですね。
なので、y=2xの場合の傾きは2となります

言い換えると、y=2xを微分した結果は2となります

次は二次関数のy=x2について考えてみます。

図2

二次関数は一次関数とは違って曲線なので、ある点の傾きと言われてもピンとこないかもしれません。
なので、図2の点Aを拡大してみます。
すると、点A付近は直線に見えますよね?
この状態で一次関数の時同様に変化量を求めれば傾きが算出できます。

傾き=yの増加量÷xの増加量なので、x=1.00の地点からx=1.01までの変化量について考えてみます
計算をすると、(1.012-1.02)÷(1.01-1.0)=2.01となります。
つまり、点Aの傾きは大体2です。

このように、ある点の傾きに関しては気長に変化量を調べれば大体の値を求めることが可能です。

…何度も大体と言ったのには理由があり、この方法では二次関数のある点の傾きを正確に算出することができません。
いくら直線に見えても実際は曲線ですからね。
そこで、正確な傾きを算出するために微分という考え方が出てくるわけです。

3.正確な傾きを証明する

微分の話に移行する前に、正確な傾き(変化量)の証明をしておこうと思います。

y=x2の関係において、x=2の時の傾きについて考えてみます。

x=2の点B(2,4)からx軸方向にa離れた点Cがあります。

図3

点Cの座標は(2+a,(2+a)2)となるので、点B~点C間の傾きを計算すると図3右側のようになります。
これで点B~点C間の傾きは4+aだとわかりました。

点B~点C間の距離を限りなく0に近づければ点Bの傾きが求められるので、a=0だと考えて点Bにおける傾きは4だと証明することができました

では、y=x2上のある点の傾き、つまり座標が(x,x2)の点Dの傾きも同様に求めてみましょう。

点Dからx軸方向にh離れた点Eについて考えます。

図4

点Eの座標は(x+h,(x+h)2)となるので、点D~点E間の傾きを計算すると図4右側のようになります。
これで点D~点E間の傾きは2x+hだとわかりました。

点D~点E間の距離hを限りなく0に近づければ点Dの傾きが求められるので、h=0だと考えて点Dにおける傾きは2xだと証明することができました
つまり、y=x2の微分した結果は2xになります

4.改めて微分という言葉について考えてみる

さて、ここで改めて“微分”という言葉について考えてみましょう。
唐突になんだと思うかもしれませんが、記憶に定着させるためには必要なプロセスです。

“微分”の”微”は”ものすごく小さい”という意味です。
小・生物などの単語からも連想できるかと思います。
“分”はそのままで”分ける”という意味ですよね。
ということは、“微分”は”非常に小さく細かく分けること”を意味します

ここで微分の手順を思い出して欲しいのですが、傾きを求めるために点と点の距離を限りなく小さく分けて考えていましたよね?
つまり、傾きを求めるということは“微分”という言葉通りのことを実施していただけだったんです
だからこそサムネもアボカドを小さく切り分けている画像にしているんです。
この画像自体が微分のイメージなんです。

5.日常生活と微分

『微分の意味はわかったけど結局日常生活で使わないから必要ないのでは?』と思う方がいるかもしれません。
ですが、普段私達が意識していないだけで身の回りは微分で溢れています

例を挙げますね。

例1)道のり・速さ・時間の関係

義務教育で「みはじ」か「はじき」と習ったことがあるのではないでしょうか?
道のりをx[m]、速さをv[m/s]、時間をt[s]とすると、道のり=速さ×時間の関係からx=vtと表せます。
つまり、一次関数で表せるんですね。

ということは、縦軸を道のりx[m]で横軸を速さv[m/s]とすれば時間t[s]が傾きになり、縦軸を道のりx[m]で横軸を時間t[s]とすれば速さv[m/s]が傾きになります
それぞれ微分するとこの結果を導き出すことが可能です。

例2)個数・重さの関係

質量m[kg]の物体がx個あったら総質量がM[kg]になるといった単純な関係もM=mxと表せるので微分可能です。

以上のように、一次関数や二次関数で表せる関係には微分が適用できますので、普段意識していないだけで至る所に微分の概念は存在するんです

6.学校の数学で習う微分

ここまでの長々とした説明(これでも要点以外はすっ飛ばした)で微分とは傾きを求めることだということがふんわりと理解できたと思います。
ですが、学校で習う数学の微分でこんな過程について習ったかと言うと私は記憶にありません(笑)
※ 記憶に無いだけで習っている可能性。

なので、次の記事からは実際の微分のやり方について説明していきます。

以上、「そもそも微分とは何なのか」についての説明でした。