今回は、『当社』と『弊社』の意味の違いについてです。
基本的に結論だけ見ておけば知りたいであろう内容は載っていると思います。
より詳しく、雑学として知っておきたい場合は以降の項にも目を通してみましょう。
1.結論
「当社」も「弊社」も自分の所属する会社を指しますが、分類すると「当社」は丁寧語、「弊社」は謙譲語になります。
わかりやすく言い直すと、「当社」はへりくだらない、「弊社」はへりくだるということです。
例を挙げると、社外向けに自分の立場を低くみせなければいけないケースは「弊社」、社内向けのプレゼンテーションのようなケースは「当社」で良いという感じです。
社外からのとあるメールに「当社」と書かれていたから私の認識がおかしいのかと思って調べ直してみたけど、そんなこと無かったよ。
ナチュラルに見下されていた可能性。
2.辞書から考える
まずは「当社」の意味です。
当該の会社、または自分の会社、という意味で用いられる表現。類似表現である「弊社」や「小社」は主に自社の事を謙って言う表現であるのに対して、「当社」の場合は、特に謙譲の意味合いは含まれずに用いられる。
引用:weblio国語辞典 実用日本語表現辞典
「当社」は「弊社」と同じような使い方をされているけど、「弊社」は謙譲の意味合いがあるのに対し、「当社」は謙譲の意味合いは含まれないとありますね。
ここだけ読むと「当社」が敬語ではないように若干感じてしまいますが、しっかり敬語です。
扱いとしては丁寧語ですね。
次は「当社」の類似表現とされていた「弊社」の意味です。
弊社とは、自分の属する社の謙称のこと。自分の会社のことを示す際に使用するへりくだった表現、謙譲語である。弊社の語は、相手の会社に対して自社が格下であるというニュアンスを含んでおり、社外の人間に対して「我々の会社」と言いたい時に使用する表現である。弊社の同義語には小社が挙げられる。
引用:weblio国語辞典 新語時事用語辞典
以上からわかる通り、どちらも「自分の所属する会社」という意味では同じです。
だから類似表現と書かれていたんですね。
この説明文で「当社」は謙譲の意味合いがなく、「弊社」は謙譲の意味合いがあることがはっきりとわかります。
なので、端的に言えば相手を立てる必要がなければ「当社」、相手を立てる必要があれば「弊社」となります。
そもそも「弊社」の「弊」という字は、「語弊」・「弊害」などの悪い意味合いを持つ熟語が多いです。
なので、「弊社」も自分の会社を貶める(へりくだる)方向で使われているということですね。
「小社」という言葉は私は普通に知らなかったのですが、「弊社」と意味は同じでした。
同じではありますが、「小社」は世間一般の認知度はあまり高くないようなので、普通に「弊社」がよく使われているようです。
「小社」は自分の会社を小さく見せるから「弊社」と同じ意味になるということかな…?
3.実際の使用ケースから考える
「当社」と「弊社」の違いは謙譲の意味があるか無いか、へりくだるかへりくだらないかだとわかったかと思います。
なので、最後に実際の使用例について考えておきましょう。
例えば、お客様先(相手の方が立場が上)に対するメールに「当社」と書いたとします。
すると、「当社」は丁寧語でへりくだらない意味合いになる、つまりお客様相手に立場は対等だと暗に言っているような状態になります(笑)
普通に失礼ですね。
「弊社」か「小社」にしましょう。
メールではなく対面だったら「私ども」などの言葉を使うのもありです。
別に「弊社」で良いと思うけど。
次に、グループ内のプレゼンテーションの場で「弊社」と言ったとします。
すると、「弊社」は謙譲語でへりくだる意味合いになる、つまり同じ会社に所属している人相手に自分の所属する会社(※相手も所属している)を下げた言い方をすることになります。
何に対してへりくだっているんだお前は、と。
こちらの場合は「当社」が正しいことになります。
滅多にいないですが間違えて使っている人がいるにはいるので、気付いたらこっそり教えてあげましょう。
社外の人間は知らんです。
以上、『当社』と『弊社』の意味の違いについてでした。