今回は、『指針』と『指標』の意味の違いについてです。
基本的に結論だけ見ておけば知りたいであろう内容は載っていると思います。
より詳しく、雑学として知っておきたい場合は以降の項にも目を通してみましょう。
1.結論
簡単に言えば、大まかな方向性を示しているなら「指針」、具体的な方向性を示しているなら「指標」です。
「指針」を「(コンパスなどの)針を指す」と捉えて「針が指す方向を目指す」、もしくは「指標」を「目標を指す」と捉えて「目標を目指す」という違いで覚えるといいかもしれません。
2.辞書から考える
まずは「指針」の意味です。
物事を進めるうえでたよりとなるもの。参考となる基本的な方針。手引き。「人生の指針とする」
引用:weblio国語辞典 デジタル大辞泉
次に「指標」の意味です。
指標とは、状況や物事に価値をつける際の基準となる要素、を意味する語。計測された客観的なデータによって示され、状況の変化を見出したり、変化の程度を見定めたりするために用いられる。
引用:weblio国語辞典 実用日本語表現辞典
どちらも似たような意味になっているように感じますが、決定的な差があります。
それは、具体性です。
この差については実際の使用ケースに沿って考えてみます。
3.実際の使用ケースから考える
まずは「指針」の例から挙げていきます。
今、山で道に迷ったとします。
どちらに進めば良いのかわからないので、手元にあるコンパスに従ってとにかく北を目指して歩き続けることにしました。
この場合、コンパスが「指針」になっています。
まっすぐ進むことができれば”北に進んでいる”という事実は保証されますからね。
そうすれば山を降りることができるかもしれません。
実際は橋・川・崖などの関係でまっすぐ進めないけど。
そもそも「指針」とは言葉から想像できるように、時計・はかり・方位磁石などの針のことを表す言葉でもあるので、「指針」の意味は比較的わかりやすいんですよね。
次は「指標」の例です。
先程の例と同様に山で道に迷っているとします。
すると、遠くに煙が見え、ごはんを炊いている美味しそうな匂いがしました。
ただの真っ黒な煙なら山火事かもしれませんが、山でごはんを炊いている匂いがするのは不自然ですよね。
これは誰かが自炊しているのかもしれません。
煙を頼りに進んで、そこにいる人に山を下りる方法を聞きに行ってみましょう。
この「煙」が「指標」に当たります。
「指針」と「指標」、差がわかりましたか?
この例の場合、『とりあえずこっちに行ってみよう』が「指針」で、『煙が見える先に人が居そうだから道を聞きに行ってみよう』が「指標」になっているんですよ。
つまり、「指針」より「指標」の方が『なぜそうするのか?』という部分がより具体的になっているんです。
なので、「指針」と「指標」どちらを使ったら良いか迷った場合は、指し示す方向が抽象的(ふんわりしている)なのか具体的なのかで判断しましょう。
辞書の意味でも言っていますが、何かしらのデータを参考にしている「指標」の方が具体性が増すんですよ。
以上、『指針』と『指標』の意味の違いについてでした。