【基礎から学ぶ情報技術】 IPアドレスの構成 ~数字の羅列はそれぞれ何を意味しているのか?~

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私の専攻は電気系なのですが、電気電子系の仕事とIT系の知識は切っても切れない存在となります。
回路設計をしても、それを動かすCPUはソフトウェアが無いと動かないですからね。
本記事は、IT系の分野で疑問を持ったり知っておいた方が良いと個人的に思った内容についてまとめたものとなります。

今回は、「IPアドレスの構成」についての説明です。

1.初めに

パソコンでアプリケーションとの通信設定などをする際に、[133.102.150.2]のような数字の羅列を見たことはありませんか?
アレはIPアドレスと言います。
このIPアドレスを指定することで、アプリケーションとの通信が可能になります。

ただ、IPアドレスって結局何なのかは知らないという方は多いかと思います。
大概『この通りに設定してください』と書かれているので、それに従うだけで問題無く設定が完了してしまうからです。

今回は、そんなIPアドレスという数字の羅列が何を意味しているのかを簡単に解説していこうと思います。

2.IPアドレスとは?

そもそもIPアドレスとは何なのかという話なのですが、簡単に言えばコンピュータやネットワークを識別するための住所を表しています。
要するに、アプリケーション設定でパソコンのIPアドレスを[133.102.150.2]に設定してくださいと言われたら、『このアプリケーションは[133.102.150.2]の住所とやり取りをするので、そこに居てください』みたいなニュアンスになるんです
だから指定したIPアドレスになっていないと通信を失敗するという理由で、最初にIPアドレスを設定するように促されることが多いのです。

ちなみに、IPアドレスは英語で[Internet Protocol Address]と書きます。
IP(インターネットを形成するための決まり事)で使うアドレスのことを指しているのです。

3.グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

IPアドレスはグローバルIPアドレスプライベートIPアドレスに二分されます。

グローバルIPアドレスはその名の通り世界中のIPアドレスなので、重複は許されません。
自分が住んでいる住所と全く同じ住所が存在したら、住所の特定ができなくて困るでしょう?

一方、プライベートIPアドレスの対象は、グローバルIPアドレスを割り振られたコンピュータの子機に当たるコンピュータ用のIPアドレスです。

ルータに接続された複数のパソコンを想像してみてください。
ルータはIPアドレスを自動で割り付けています。
ここで言うIPアドレスは、プライベートIPアドレスです

ルータが繋がっているパソコンの区別をできれば良いだけなので、グローバルIPアドレスにする必要は無いのです。
その為、プライベートIPアドレスとしてローカルルールで自由に設定することが可能です。

イメージとしては、自宅の住所がグローバルIPアドレスで、自宅の部屋割りがプライベートIPアドレスだと思ってくれれば良いかと思います。
自宅の住所さえ変えなければ、どの部屋を誰が使っていようが関係無いのです。

4.IPアドレスの構成と各部の名称

IPアドレスは、0~255の数字を4つ組み合わせた識別番号になっています。
[0.0.0.0]~[255.255.255.255]までの億を超える組み合わせ(約43億通り)があるわけです。
要は、例に挙げたIPアドレスの場合、「.」で区切った「133」・「102」・「150」・「2」という組み合わせになっているわけです。
この内、左から3つの数字がネットワークを表していて、一番右の数字がコンピュータを表しています

ここで、ネットワークを認識するための「133.102.150」の部分をネットワークアドレスコンピュータを認識するための「2」の部分をホストアドレスと呼びます。

ホスト(※)とはサーバとほぼ同義で、サービスなどを提供する側のコンピュータやプログラムのことを指しています。
だからコンピュータを認識する部分の名称はホストアドレスになっているわけですね。

図1

ちなみに、0~255の数字を4つ組み合わせたIPアドレスはIPv4(IPアドレス Ver.4)、0~255の数字を6つ組み合わせたIPアドレスはIPv6(IPアドレス Ver.6)と呼ばれます。
2024年時点の主流はIPv4なのですが、『このままコンピュータが増えていくと4桁では足りなくなるのでは?』と危惧されてIPv6への移行準備が始まっているという状態です。
IPv6になると約340澗(かん)までIPアドレスを割り振れます。

ホストという用語が出てきたので、ここで補足説明をしておきます。

ホストとは、英語で[host]と書きます。
意味は[主人・司会者・進行役]です。
IT分野においては、サービスなどを提供する側のコンピュータを指しています。

話は変わりますが、サービスを提供する側のコンピュータやプログラムのことをサーバと呼びます。
つまり、ホストとサーバはほぼ同義です。
寧ろ違いはハッキリしていません。

インターネットで何か調べものをする場合、Internet ExplorerやGoogle ChromeといったWebブラウザ(サーバに接続するためのソフトウェアのこと)でキーワードを入力して、気になるWebサイトを閲覧します。
あれは、私たち(クライアント側)の要求に対してWebブラウザが『こんなWebサイトがあるよ!』と候補を挙げてくれていて、そこから選択したWebサイトのファイルを管理しているコンピュータからWebブラウザが必要なデータを受け取ってくれているのです。
※このWebサイトのリストのことをSERPと呼びます。

この流れで言うところの“Webサイトのファイルを管理しているコンピュータ”がサーバに当たります
Webブラウザに向けてデータを提供するという“サービス”をしてくれているでしょう?

このサービスを提供する側のコンピュータをWebサーバと呼ぶわけですが、Webホストとは呼びません
なのですが、コンピュータに識別番号が付いていた場合、それはサーバ名ではなく何故かホスト名と呼ぶようになります。
不思議ですね。

ホストとサーバの間では明確な違いが確立されてはいないようなので、同じような意味合いとしてふんわりと覚えておきましょう。

また、複数のコンピュータを取りまとめる中心的な大型コンピュータのことをホストコンピュータと呼び、ホストコンピュータを略してホストと呼んでいることもあります
こちらの方が実際の意味から想像がしやすいですね。

5.ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス

IPアドレスの各部の名称は先程の図1のようになっているのですが、一部特殊な例外があります。
それは、ホストアドレスが「0」と「255」の場合です

ホストアドレスを「0」としたものを特にネットワークアドレスと呼び、ホストアドレスを「255」としたものを特にブロードキャストアドレスと呼びます。

図2

それぞれ補足説明していきますね。

ネットワークアドレスは名称が被るからややこしいように感じるのですが、実際の考え方は単純です。
[133.102.150.0]というネットワークが存在し、このネットワーク内のコンピュータは[133.102.150.1]~[133.102.150.254]のどれかを指し示している、これだけです。

ネットワークアドレスは「あるネットワークグループのグループ名も兼任している」とでも思っておきましょう。
結局、[133.102.150]の部分がネットワークアドレスを指していることに変わりはないのです。
その同一ネットワーク内で繋がっているどのホストなのかを表しているホストアドレスが1~254種類まで用意されているんです

それに対してブロードキャストアドレスは、同一ネットワーク内の全てのコンピュータに対してデータを一斉送信するための特殊なIPアドレスのことを指しています。

[133.102.150.1]~[133.102.150.254]のコンピュータに一斉にデータを送信することができます。
なので、ブロードキャストアドレスだけは単純にホストを指しているわけではないんですね。

ということで、仮にIPアドレスを設定する際にホストアドレスは『何でも良い』と言われたら、1~254の範囲で適当に決めましょう。
IPアドレスとネットワークアドレスの考え方の例えと実際のIPアドレスの変更手順は別途まとめてあるので、興味があれば以下の記事も参考にしてみてください。

【Windows PCの手引き】 IPアドレス・ネットワークアドレスの変更方法
PCを使用していると、何かしら変な現象に見舞われたり、何なのかよくわからない機能が存在したりしますよね?本記事では、そんなちょっとした問題に直面した際の対処法や疑問の解消を目的として、わかりやすくまとめていけたらと思っています。今回はIPアドレス・ネットワークアドレスの変更方法についてです。

6.サブネットマスクについて

IPアドレスを実際に変更しようとすると、サブネットマスクという項目が近くに存在します。

図3

なのですが、IPアドレスの変更指示があったとしても、サブネットマスクについては全く触れていないということがあります。

何故かと言うと、基本的に[255.255.255.0]以外になることがないからです
何も指定が無ければ、[255.255.255.0]と入力しておけば問題無いのです。

では、サブネットマスクとは何なのかを説明していきますね。

サブネットマスク[subnet mask]とは、IPアドレスの先頭から何bitまでがネットワークを表すのかを示した情報のことです。
要は、[133.102.150.2]というIPアドレスがあったとして、[133.102.150]までがネットワークを表していることを知るための情報がサブネットマスクです。

サブネットマスクは見てわかる通り、IPアドレスと同じ形式で表されています。
この[255.255.255.0]という並びを2進数に変換すると、以下のようになります。

11111111.11111111.11111111.00000000

この羅列とIPアドレス(こちらも2進数に変換する)を並べて比較した時に、サブネットマスクの1が並んでいる部分に該当する箇所までがネットワークを表します
つまり、[255.255.255.0]というサブネットマスクなら、32bit中上位24bit、ちょうどネットワークアドレスの部分がネットワークを表しているということになるのです。
だから[255.255.255.0]以外になることは基本的に無いと述べたわけです。

IPアドレスの方式がIPv4からIPv6に移行したら話は別なんですけどね。
でも、多分[255.255.255.255.255.0]とかになるだけじゃないかな?

以上、「IPアドレスの構成」についての説明でした。