今回は、「生活に普及するIT技術(IoT・スマートホーム・Matter)」についての説明です。
1.初めに
IT技術は、私たちの生活に大きな影響を与えています。
最も一般普及しているIT技術は、インターネットです。
最近はスマートフォンを使って照明を点灯させたり、外出中に家に設置したカメラから留守番しているペットや子供の様子を見ることなんかも可能になっています。
これらもIT技術の賜物です。
IT技術が発展したおかげで、私たちの生活の利便性が上がっているのです。
これらの技術やその技術を実現するための決まり事には名称がありますので、今回はそんな生活に普及しているIT技術について解説していきます。
2.IoT/モノのインターネットについて
IoTという用語に聞き覚えはありますか?
IoTとは、英語で[Internet of Things]と書きます。
その為、よく“モノのインターネット”と呼ばれています。
例えば、防犯カメラってありますよね?
この録画しているデータは、離れた場所に居ても遠隔で確認できるようにもできます。
なぜそんなことができるのかというと、録画しているデータをインターネット経由で別のコンピュータに送っているからです。
簡単に言えば、この仕組みがモノのインターネットです。
通常のインターネットは、世界中のコンピュータを互いに繋いだ情報網のことでした。
繋がっているのは情報機器だけなんです。
そこで、ここにセンサ・カメラ・家電・車などのあらゆるモノを繋いで通信機能を持たせることで、色々自動化して便利にしてしまおうという試みがIoTです。
自動認識・自動制御・遠隔認識・遠隔操作などのシステムだと思ってくれれば良いです。
例えば、昨今ではやろうと思えば以下のようなことができるようになっています。
- 体温を測ったら自動的にパソコンに結果を保存する。
- 農場にて時間経過や湿度状況によりスプリンクラーを起動させる。
- 家に居なくても子供やペットの様子をカメラで確認できる。
- リアルタイムの渋滞情報を受け取ってカーナビに表示する。
これらがモノをインターネットに繋いだ成果です。
つまり、いつの間にか私たちの生活にIoTは浸透しているんです。
昔はパソコンをインターネットに繋ぐだけでも画期的なことだったのに、技術が進歩したものですね。
3.スマートホームについて
IoTの例として、「家に居なくても子供やペットの様子をカメラで確認できる」というものを挙げましたよね?
この例のように、家での生活を便利にするIoT技術はどんどん発展しています。
その結果、今となってはスマートフォンのような制御デバイスを1台用意するだけで、テレビ・照明・エアコン・給湯器・換気扇など、様々な住宅設備を操作できるようになっています。
これまではテレビやエアコンを個別に操作するためのリモコンが必要だったり、照明や給湯器は手動で動作させていましたが、制御デバイス1台でまとめて制御できるようになっているのです。
モノによっては予約のような機能もあり、指定した時間になると勝手にカーテンが閉まって照明を付けたりなんてこともできます。
また、この制御器を持ってさえいれば、家の外にいる状態でも機能させることもできます。
このように、IT技術によってより快適な生活が実現された住まいの状態のことをスマートホームと呼びます。
あくまでIoTを適用した状態を指している用語の為、実際にスマートホームになっている住まいのことは「スマートハウス」・「IoT住宅」・「IoTマンション」・「コネクテッドホーム」などと呼ばれます。
スマートホーム化のメリット
スマートホーム化は、以下のようなメリットがあります。
スマートホーム化のデメリット
スマートホーム化はメリットが多いですが、その分大きなデメリットも存在します。
4.Matterについて
IoTが私たちの生活に浸透して、スマートホームという利便性の高い住まいが誕生したのは喜ばしいことです。
なのですが、スマートホームを実現する上で大きな問題が1点あります。
それは、メーカの違いによる互換性です。
スマートホームに組み込むモノの候補は、家電製品・照明・カメラなど様々なものが挙げられます。
それらの製品は、当然ながらメーカが異なりますよね?
では、そのメーカの異なる製品をまとめて1つの制御デバイスで管理できると思いますか?
普通に考えて難しいでしょう?
製品によってはUSB・HDMIなどの有線接続にしか対応していなかったり、無線にしてもWi-Fi・Bluetoothのように使用できる無線の種類に差がある可能性がありますからね。
場合によっては相性が悪いからそもそも接続できないということもあります。
なので、基本的にはメーカを揃える必要があり、自由にスマートホーム対応製品を選ぶことが難しいです。
辛うじて接続できたとしても、繋がりがごちゃごちゃになるんですよ。
また、製品によっては専用のアプリケーションで動作するものも存在するので、一々使い方を覚える必要もあります。
例えるなら、PC用ゲーム・Switch用のコンテンツ・PS5用のコンテンツという具合に、ゲームをプレイするためのゲーム機がバラバラに分かれているのに、全部まとめてパソコン1台でプレイできるようにしようとしているようなものです。
パソコンとPS5・Switchを接続して何やかんやすれば最終的にパソコンでまとめてプレイすることはできるかもしれませんが、接続が大変なことになるんです。
その為、初期のスマートホームは全く“スマート”ではなく、かなりITに精通している必要がありました。
素人だと何をどう繋いでどのように操作すれば良いのかという部分がハードルになっていたのです。
相性が悪ければ使えない製品もあったので、使いたいと思ったスマートホーム対応製品を選べないなんてこともありましたしね。
そこで、効率的なスマートホーム化を図るために企業間で連携が必要だという結論に至り、IoT共通規格が制定されました。
この規格のことをMatterと呼びます。
Matterは、CSA[Connectivity Standards Alliance(無線通信規格標準化団体)]が策定して2022年秋にリリースされた規格です。
CSAの公式のホームページは、以下のリンク先から閲覧可能です。
このCSAには、Google・Apple・Amazonなどの誰でも知っている会社を始めとしたアメリカのIT企業が300社以上参加しています。
CSAの参加企業が、スマートホーム実現のためにMatterというルールに則ることを決めたのです。
Matterに則ることで、スマートホームに対応した製品は異なるメーカであっても互換性を持つようになりました。
簡単に言うと、Matterに準拠したスマートホーム対応製品同士なら、簡単に接続できるようになるのです。
要するに、パソコンでSwitch用のコンテンツをプレイしたり、PC用ゲームをPS5でプレイできるようになると思ってくれれば良いです。(※例え話です。)
ゲームソフトに対応したデバイスを用意する必要が無くなるので便利そうでしょう?
その為、深く考えずにスマートホーム対応製品を自由に選べるようになったのです。
また、Matterはオープンソースなので、SDK(ソフトウェア開発をするために必要となるプログラムやツールなどを一つにパッケージ化したもの)がリリースされれば、CSAに参加していなくともMatterに準拠した製品を作ることができます。
つまり、スマートホームに関心のある企業なら、自由にMatterに準拠したスマートホーム対応製品を作ることができるのです。
なので、これからどんどんスマートホーム対応製品が増えていく可能性はあります。
もしかしたらスマートホームが当たり前になる世の中になっていくかもしれませんね。
ちなみに、覚えておく必要は無いですが、MatterはTCP/IP階層モデルにおける第4層のアプリケーション層に位置します。
以上、「生活に普及するIT技術(IoT・スマートホーム・Matter)」についての説明でした。