【基礎から学ぶ情報技術】 インターネット契約時に出てくる用語解説 ~ルータ・プロバイダ・SIMの意味とは?~

IT
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

私の専攻は電気系なのですが、電気電子系の仕事とIT系の知識は切っても切れない存在となります。
回路設計をしても、それを動かすCPUはソフトウェアが無いと動かないですからね。
本記事は、IT系の分野で疑問を持ったり知っておいた方が良いと個人的に思った内容についてまとめたものとなります。

今回は、「インターネット契約時に出てくる用語」についての説明です。

1.初めに

インターネットは現代社会では誰しもが利用しているサービスです。

そんなインターネットですが、何もしなくとも自由に利用できるわけではありませんよね?
パソコンでインターネットを利用するには自宅にインターネット用の回線を引く必要があります。
そんな時に、自宅にルータという謎の装置を設置されたり、店舗説明時にプロバイダという用語が出てきたりしませんでしたか?

この辺りの用語に疑問符を浮かべる方は少なくないかと思います。
詳しく知らずともインターネットの利用に支障をきたしはしないので、そこまで詳しい説明なんてしてくれないんですよ。

ということで、今回はルータとは何なのかプロバイダとは何なのかについて、わかりやすく説明していこうと思います。

2.ルータとは?

ルータについて理解するためにはネットワークとインターネットの関係を理解している必要がありますので、過去の記事にまとめていますが簡単に解説していきます。

あるコンピュータと別のコンピュータが繋がることで、そこにネットワークが形成されています。
ネットワークについてもう少し詳しく言い直すと、「情報機器や通信端末や各種サーバの間を有線または無線で繋いで情報の伝送を行ったり効率化を図るための通信設備のこと」になります。

例えば、複数台のパソコンを接続してデータを共有したり、会社に設置されている共有のプリンタを使えるようにしたり…この小さな単位の通信網はネットワークなのです。
一般家庭・学校・会社などの情報機器が個別のネットワークを形成しているのです。

そんなネットワークをさらに外のネットワークとも繋がるようにした仕組みがインターネットです
つまり、ネットワークがいくつも集まってできているのがインターネットなんですね。
こうすることで、世界中の情報機器が繋がっているのです。

このようにネットワーク同士を接続することでインターネットが形成されているわけですが、そもそも論としてどのようにネットワーク同士を接続しているのでしょうか?

ネットワーク同士を繋ぐというのは、言うなれば仲の良いグループと全く接点の無い別のグループを引き合わせるような行為です。
何かきっかけが無い限り、別にお互いに関わり合おうと思わないでしょう?
なので、引き合わせる“仲介人”となる誰かが必要になります。
ネットワークに関しても同様のことが言えます。
そこで登場する“仲介人”がルータです。
ルータ[router]とは、ネットワークを接続している中継装置のことなのです。

ルータの具体的な動作・接続イメージ

ルータには、複数のコンピュータをぶら下げる形で接続します。

図1

こうすることで、コンピュータA-ルータ-コンピュータBというネットワーク接続が可能になっています。

例えば、会社で離れた位置に配置されているコピー機を使って印刷ができるのは、ルータを介してパソコンとコピー機が繋がっているからなのです。
パソコンとコピー機をケーブルで接続して直接的なネットワークを構築することも可能ですが、会社ではコピー機の利用者は多数いるので、ルータを使用しているのが普通です。

ルータは有線接続にも無線接続にも対応しています。
ルータをトップとしたネットワークを構築できるわけですが、ルータは別に設置したルータとも通信ができるようになっています
つまり、あるルータをトップとしたネットワークと、また別のルータをトップとしたネットワーク同士を繋ぐことができます
厳密には、コンピュータから受け取ったパケット(ある長さに分割されたデータのこと)の持っている宛先のIPアドレスというものを読み取って、どのような経路でパケットを送信すれば目的地に辿り着けるかを考え、次に向かうべきルータを示すのがルータとしての動作です。
この処理のことをルーティングと言います。

ルーティングは、カーナビで『何kmを右方向、そこから何km直進で目的地に到着します。』といった指示をしてくれるようなものです。
ルータA『次はBのルータへ向かってください。』→ルータB『次はCのルータへ向かってください』…という具合に、バケツリレーのようにルータを経由することで目的のコンピュータまで辿り着くイメージです。
こうすることで、遠く離れたコンピュータ同士でも通信が可能になっているのです。

図2

IPアドレスについては別途まとめますが、ここではネットワーク上の住所だと思ってください。
ルータをトップとして構築したネットワーク内のどこに存在するかをIPアドレス(住所)で表しているので、そのIPアドレス(住所)を照会することで目的のコンピュータを特定しているのです。

そして、このIPアドレスを自動で割り振っているのがルータなのです
つまり、インターネットの元締めみたいなヤツがルータなんです。

ポケットWi-Fiなどの他の選択肢もあるのですが、ルータは一度に接続できる台数に余裕があり、他の選択肢と比べると安定した通信速度を持ち、通信量に制限はありません。
また、接続時に細かい設定が不要(パスワードを入力するだけ)な上に、光電話も契約していたらルータ経由で電話もできるようになります。
その為、自宅でインターネット回線の契約をすると、ほぼルータを設置することになるのです。
ルータが家にあると、何かと都合が良いのです。

機械分野におけるルータ

ルータと言われて思い浮かべるのはIT業界におけるルータという方が多いかと思うのですが、機械分野におけるルータという工具も存在しますので、ついでに紹介しておきます。

機械分野におけるルータとは、木材を加工するための電動工具を指しています。
面取りや溝切りなんかをしたい時に使用します。
先端部分の刃物が高速回転するので、それを利用して切削加工を行います。

ミニルーター 40000RPM リューター 6段変速 128pcs 180W DEPSTECH電動リューター ハンドルーター シールドアタッチメント コンパクト 木工/彫刻/穴あけ/研磨/切断/切削/つや出し/マニキュア/汚れ落とし
ミニルーター 6段変速 128pcs 40000RPM 180W

3.プロバイダとは?ISPとは?

プロバイダ[provider]とは、インターネット接続サービスを提供する会社のことです。
正式にはインターネット・サービス・プロバイダと言い、略してISPと呼ばれていることもあります。
OCNとかNURO光がプロバイダです。

プロバイダは、インターネットサービスを提供している会社であって、インターネット回線を提供している会社とは別物です
後者のことを回線事業者と呼びます。
有名どころだと、NTTとかKDDIが回線事業者です。

例えば、新居でインターネットを使用したかったとします。
この場合、インターネット用の回線が引かれていませんので、回線事業者に依頼が必要です。

そうしてインターネット回線を引いてもらっても、まだインターネットは使用できません。
この時点のインターネット回線の状態は、「水道管を蛇口まで繋いだけど、水道会社とは契約していない状態」だと思ってください。

賃貸契約したことがある方は、電気・ガス・水道の使用開始連絡を別途する必要があると言われたことがあるのではないでしょうか?
アレと同じで、通信信号の通り路はできているけど、その路の使用許可は得ていないのです。
だから、この回線を使うためには、インターネットサービスを使用するための契約が必要になるのです
そこでやり取りをするのがプロバイダというわけです。
つまり、インターネットというサービスを使用するには、回線事業者とプロバイダ両方と契約する必要があるのです

2社と契約するのは面倒ですが、昨今は回線事業者とプロバイダが一体化したサービスも存在するので、面倒ならそちらを検索すると良いかと思います。

そして、プロバイダがインターネット回線を使用するために渡してくるのがルータというわけです。

回線事業者が引いたインターネット用の回線をルータに繋いで、そのルータに手持ちのコンピュータを接続することで、インターネットに繋げるようになるのです。
その為、インターネットの契約をしようとするとヌルっとルータやらプロバイダやらの用語が登場するというわけです。

ちなみに、回線事業者ごとに対応しているプロバイダは異なりますので、別々に契約する場合はその点に注意しましょう。

4.スマートフォンの契約について

ついでなので、スマートフォンの契約についても触れておこうと思います。

スマートフォンの店舗契約も、プロバイダとルータの関係とやっていることは同じです。

スマートフォン本体を買っても、ドコモ・au・ソフトバンクなどと契約しないとインターネットも電話も使えないでしょう?
あれは、スマートフォン本体は通信や電話というサービスを利用できる機構を備えているのですが、肝心のその機能を使用するためのパーツが抜け落ちているからです。
ドコモ・au・ソフトバンクなどの携帯電話会社が用意している回線を使用するためにはSIMカードというものが必要になるので、店舗契約ではそのSIMカードの登録及び利用料金の契約をしているわけです。
つまり、スマートフォンという機械を入手することが回線事業者に回線工事の依頼をすることに等しく、SIMカードを契約することがルータの契約をすることに等しいのです

SIMカードとは、契約情報や電話番号情報の記録されたICカードのことです。
このSIMカードに通信に必要な情報が含まれている為、スマートフォンを変更したい場合は自力でSIMカードを抜き出して移動することも可能です。
ただ、それが可能なのはSIMフリー端末だけです。

今は気にする必要が無いのですが、2015年以前はドコモ・au・ソフトバンクなどの携帯電話会社が販売しているスマートフォンには、その購入会社の用意したSIMカードしか対応していませんでした。
※このことをSIMロックと呼びます。
その為、一度契約すると他社への乗り換えが容易では無かったのです。

『それだと消費者の選択の権利がどうなの?』という話になり、2015年5月以降に特定の携帯電話会社にて購入したスマートフォンであっても、SIMロックは解除されるように義務付けられました。
なので、一部の例外を除いて、自分でSIMカードを取り出してスマートフォンの機種変更をすることは可能になっています
ただし、SIMカードにはいくつかのサイズがあり、スマートフォンによって対応しているSIMカードのサイズが存在します。

また、SIMカードは小さくて薄く、壊れやすいです。
スマートフォンの契約を携帯電話会社で行っているのなら、店舗で慣れた店員さんに任せた方が安全です。

格安SIMとは?

2015年以降に消費者のスマートフォン契約の選択の自由が広がったわけですが、その辺りから格安SIMというものが普及し始めました。
耳にしたことがあったり、既に格安SIMに切り替えているという方もいるでしょう。

格安SIMとは、ドコモ・au・ソフトバンクといった大手の携帯電話会社よりも低価格でスマートフォンを使用できるサービスのことです。
具体的には、月々1,000~2,000円程度でスマートフォンを利用できるようになります。
大手の携帯電話会社だと5,000~10,000円くらいかかることもあるので、結構な差なんですよね。

格安SIMが安いのは、運営している会社の手法による差です。
格安SIMを提供している携帯電話会社のことをMVNO、通信設備を持っている大手の携帯電話会社のことはMNOと呼ぶのですが、MVNOはMNOから通信設備を借り受けることでサービスを提供しています。
通信設備って普通に維持管理費がかかるんですよね。
なので、その維持管理費分が安く抑えられているんです。

また、MNOはスマートフォンに何か問題があったら店舗に持っていくことで手厚くサポートしてもらえますよね?
MVNOはその辺りのサポートが手薄になっています。
何かあったら基本的に自分で何とかしろというスタンスです。
あくまで通信回線を又貸ししている会社なので、スマートフォン本体に関しては問い合わせされても困るんです。
店舗に赴いてスマートフォンもそこで購入したらサポートは受けられるかもしれませんが、基本的にはスマートフォンの故障はスマートフォンのメーカ相手に連絡することになります。
要するに、一部の人にとっては無駄に感じるサービス料・サポート料を削り取ったのが格安SIMなのです
余計なサービスは要らないから安くして欲しいという方に向いているわけです。

格安SIMのメリット

格安SIMのメリットは、値段と最低利用期間が短いという2点です。
とにかく安く、契約してからやっぱり解約したいとなった時に違約金が発生する可能性が低いのです

SIMカードは音声通話に対応していないデータSIMと、音声通話やSMS(ショートメッセージサービス)にも対応している音声通話SIMが存在し、音声通話SIMでも充分に安いですが、データSIMならもっと値段が安くなります。
個人的には家持ちで固定電話でもない限りは、流石に電話機能は残した方が良いと思いますけどね。

ただ、値段に関しては注意点があって、料金プランによってはMNOもMVNOもあまり変わらなくなります。

契約するMVNOによりますが、月のデータ通信量が精々4GB以内に収まる人なら、格安SIMだと安く済ませられる感じですかね?
私はイオンモバイルで月1~2GBしか使わないので、1,000円ちょっとの利用料金になっています。

利用期間と違約金については、MNOだと最低利用期間として2~3年程度の縛りを設けられますが、MVNOだと精々半年~1年程度の最低利用期間となります。
音声通話SIMの場合、そもそも最低利用期間や違約金が存在しないこともあります。

格安SIMのデメリット

格安SIMのデメリットは、サポートが不十分、通信回線が不安定、支払いが大体クレジットカード払いになるという3点です。

まずはサポート面についてですが、先程述べたように何かあった時のサポートは必要最低限となっています
SIMカードの異常なら対応はしてもらえるでしょうけど、スマートフォン本体の異常は基本的に管轄外です。
そもそも、店舗が近くに存在せずにネットで契約することになる可能性もあるので、『とりあえず店舗に持っていって見てもらおう』とかできないんですよ。

そして、ついでにMNO特有のメールアドレスが使用できなくなります
「docomo.ne.jp」などのことです。
まあ、昨今はスマートフォンでメール機能をわざわざ使用する人は減っているので、GoogleやYahooのフリーメールアドレスを持っていれば十分ではありますけどね。

次に通信回線の問題です。
借り受けている通信回線の利用者が多い時間帯だと、MNOと違って若干通信が安定しなくなるようです
ただ、私は普通に格安SIMをもう何年も使用していますが、妙に通信が悪くなったと感じたことは無いです。
昼休憩になる12時頃は通信が安定しないらしいですが、特に違和感はありません。
この辺りは個人がどの程度の遅延までをストレスと感じるかという差でしょうね。

最後に支払い方法についてです。
MNOなら口座引き落としを選択できるとことですが、MVNOは基本的にクレジットカード決済になります

私としては月々数千円程度のカード払いをデメリットとは感じないのですが、口座払いを“選べない”という点は人によってはデメリットになるでしょう。
安くなるのにはそれなりの理由があるということですね。

以上、「インターネット契約時に出てくる用語解説」についての説明でした。