今回は「セルの参照」についてです。
1.セルについて
※「1.セルについて」と「2.セル参照の仕組み」はもの凄い初心者向けの説明となっています。
ある程度Excelに理解のある方は「3.セル参照のルールと相対参照」辺りから詳しく読むと良いかもしれません。
Excelは表計算ソフトと呼ばれています。
表を作ったり、計算したり、表の内容からグラフを作成したりできる便利なソフトです。
ExcelはMicrosoft社が販売しているソフトで、大概PCを買うとセットでくっついてきます。
Excelを開くと、横の行に数字、縦の列にアルファベットが順番に割り振られていて、マス目が格子状にズラッと並んでいます。
この1マスのことをセルと呼びます。
セルは、縦の列がA、横の行が1だった場合は「A1セル」という認識になります。

このように、どこのセルか表す場所のことを番地と呼んでいます。
Excel内の住所・所在地を表していると考えてくれればいいです。
2.セル参照の仕組み
Excelを使用していると、「参照」という言葉が当たり前のように出てきます。
「参照」というと「参考にする・照らし合わせる」といった意味合いになりますが、セルにおける参照のイメージは「参考にする」というより「読み取る」とイメージした方がしっくりくる気がします。
これは、「A1セルを参照(読み取る)してB2セルに同じ値を表示させる」といったことがExcelでは可能だからです。
Excelでは、この「参照」という機能を組み合わせることで様々な計算を行うことが可能になります。
例えば、A1セルに「10」と入力してあった場合、B2セルに「=A1」と入力すると、B2セルにはA1セルと同じように「10」と表示されるようになります。
「B2=A1」という式が成り立ち、A1セルの値を読み取るようになったわけですね。
この状態だとB2セルは常にA1セルの値を読み取っている為、A1セルの値を変更したらそれに追従してB2セルの値も変化するようになります。
B2セルに「=A1+5」と入力したらA1を参照した「10」という数字に「+5」されて「15」という計算結果が表示されますし、「=A1+A2」といった具合にセルに入力された値同士を足し合わせることも可能です。
セルの参照は、「直接番地を入力する方法」と「番地をクリックして指定する方法」の2パターンで行うことが可能です。
A1セルを参照したい場合、前者はタイピングで「=A1」と入力するのに対し、後者は「=」と入力した後にA1セルをクリックすることで「=A1」という数式が入力される仕組みになっています。
場合によって使い分けましょう。
また、番地をクリックした後に矢印キーを入力すると矢印の方向に参照するセルが移動することや、番地を複数や範囲で選択することも可能だということも覚えておくと便利です。
番地を複数指定する場合は、「=A1,B2」のように「,(カンマ)」を間に挟んでタイピングするか、「=」と入力した後にCtrlキーを押しながら選択したいセルを順番にクリックしてください。
番地を範囲指定する場合は、「=A1:B2」のように「:(コロン)」を間に挟んでタイピングするか、「=」と入力した後に選択したい範囲をクリックしながらドラッグして囲んでみてください。

3.セル参照のルールと相対参照
A1セルに「1」と入力されていて、B1セル及びA2セルに「=A1+1」と入力したとします。
この状態だと、B1セル及びA2セルは数式通りに計算されて「2」と表示されています。
数式の入力されたB1セルをクリックすると、セルの右下に■が表示されます。
この■にマウスを合わせるとポインタが✚のような十字形に変化するので、その状態でクリックしながらD1セルまでドラッグします。
すると、B1セルに入力した数式が若干変化しつつ複製されていきます。
具体的にどうなっているかというと、C1セルは「=B1+1」、D1セルは「C1+1」というようにセルが右に移動するごとに参照するセルも同じだけズレていきます。
セルが左側に移動した場合も同様の効果があります。
縦の移動に関しても同様で、A2セルをクリックしながらA4セルまでドラッグすると、A3セルは「=A2+1」、A4セルは「=A3+1」というようにセルが下に移動するごとに参照するセルも同じだけズレていきます。
セルが上側に移動した場合も同様の効果があります。

このようなセルの参照方法を相対参照と呼びます。
元の数式に対してセルの参照先が相対的に変化するから相対参照です。
ちなみに、A1セルに「1」と入力してA1セルの■にマウスを合わせた状態でCtrlキーを押しながらドラッグすると、数式を入力するまでもなく「1」、「2」、「3」、「4」…と連続したデータが表示されるようになります。
このように、連続したデータを得られる機能のことをオートフィルと呼びます。
連続したデータを得るためにCtrlキーを押す必要がある場合と押す必要のない場合がありますが、その辺りは使いながら慣れていってください。
一応言葉で表すと、一定のルールが予測されるものはCtrlキーを押す必要がないです。
以下の図4が例です。

「日」からは「曜日」、「1月」や「Jan(January)」からは「月」だと予測され、「1」と「3」の並びからは「+2」ずつ加算されていくというルールを予測して適用してくれているわけです。
なので、ただ「1」とだけ入力されたセルからは上記のようなルールが見出せないので、Ctrlキーを押す必要があるというイメージです。
実際に使ってみるとどう表示されるか候補が出てくるので、それを見ながら試してみるのが一番かと思います。
4.セル参照のルールと絶対参照
相対参照は、参照するセル番地が自動で変化する参照方法でした。
絶対参照は、参照するセル番地が自動で変化しなくなる参照方法です。
絶対的に変化するから絶対参照です。
絶対参照には「$」を付けることで切り替わります。
例えば、「=A1」という数式があった場合は「=$A$1」といった具合です。
これだけ言われても意味がわからないと思うので、使用例を見てみましょう。
今、A1セルの値をB2:D2セルの値でそれぞれ割った結果をB3:D3セルに表示したいとします。
相対参照を使用した場合、B3セルに「=A1/B2」と数式を入力するところまでは良いのですが、この数式にオートフィルを使うとセルの参照がズレていってしまいます。
どうズレるかというと、C3セルは「=B1/C2」、D3セルは「=C1/D2」という具合にズレていきます。
その為、C3セルとD3セルは何も入力されていないセルに対して割り算を行ってしまうので、計算結果が「0」になってしまいます。
相対参照なので参照しているセルがズレていくのは当たり前ですが、今やりたいことは「A1セルの値を割る」なので、A1セルには動かないで欲しいですよね?
そこで絶対参照の出番です。
B3セルの数式を「=A1/B2」から「=$A$1/B2」にして、A1セルを絶対参照にします。
この状態でオートフィルを行うと、A1セルは固定されて正しい計算結果が表示されるようになります。
ちなみに、数式はC3セルでは「=$A$1/C2」、D3セルは「=$A$1/D2」になっています。

5.セル参照のルールと複合参照
絶対参照は「=$A$1」のように「$」が2ヶ所に付いていましたよね?
この「$」がセルの固定を表しています。
なので、絶対参照の場合は列(縦軸)における「A」の部分と行(横軸)における「1」の部分を固定していることになります。
だからオートフィルをしても縦にも横にも参照セルが移動することがないのです。
何が言いたいのかというと、「$」の位置を調整することによって列だけ固定・行だけ固定という切り替えも可能なのです。
数式としては「=$A1」、「=A$1」のような表示になります。
このように、相対参照と絶対参照が複合された形式になっている参照方法のことを複合参照と呼びます。
複合参照のうち、列だけ絶対参照する場合は絶対列参照、行だけ絶対参照する場合は絶対行参照と呼びます。
名称は別に重要ではないので、最低限機能だけは覚えておきたいところです。
列がアルファベット、行が数字で表されているのがセルです。
なので、列を固定したい場合は「=$A1」のようにアルファベットの前に「$」を付けて、行を固定したい場合は「=A$1」のように数字の前に「$」を付けます。
図3で使用した例と同様にA1セルに「1」と入力されていて、B1セル及びA2セルに「=A1+1」と入力したとします。
この状態だと、B1セル及びA2セルは数式通りに計算されて「2」と表示されています。
この「=A1+1」という数式を「=$A1+1」(絶対列参照)と「=A$1+1」(絶対行参照)にした状態でオートフィルした結果が図6です。

「=$A1+1」(絶対列参照)では列であるアルファベットの「A」が固定される為、C1セル及びD1セルの数式が「=$A1+1」から変化しなくなっています。
「=A$1+1」(絶対行参照)では行である数字の「1」が固定される為、A3及びA4セルの数式が「=A$1+1」から変化しなくなっています。
このように参照方法を選択できるので、使い分けていきましょう。
ちなみに、絶対参照や複合参照にする場合は直接「$」と入力しても良いですが、PCによってはF4キーを入力することで参照方法が変化します。
例えば、「=A1」という数式を入力し、数式のA1部分を選択した状態でF4キーを押すと、「=A1」⇒「=$A$1」⇒「=A$1」⇒「=$A1」⇒「=A1」…という順番で参照方法がループします。
地味に便利なので是非覚えておきましょう。
以上、「セルの参照」についてでした。