今回は、「制御出力機器の方式(シンクロジックとソースロジックの違い)」についての説明です。
1.初めに
制御出力機器を使用したことはありますか?
私は、PLCを検査器に突っ込んで、DC24V駆動のリレーをON/OFFさせたりするのに使用したことがあります。
検査項目に合わせてリレーをON/OFFすることで、回路を切り替えたりしていました。
任意のタイミングで電圧を出力できるので、何かと便利なんですよね。
そんな制御出力機器ですが、その方式にはシンクロジックとソースロジックという2つのパターンがあります。
制御出力機器の取扱説明書を眺めてみれば、それに通ずる内容は必ず記載されています。
何故かと言うと、方式によって周辺機器との接続方法が大きく変わってくるからです。
今回は、そんなシンクロジックとソースロジックの違いについて、わかりやすくまとめていきます。
2.シンクロジックとソースロジックの違い
シンクロジックとソースロジックの制御出力機器は、それぞれ以下のような内部構造になっています。

大きな違いは、使用しているトランジスタと制御出力機器内部に用意された電源を使用しているかどうかです。
そこが違っているだけで、トランジスタのベース信号次第でON/OFFのスイッチング動作をする点は変わりません。
それぞれの動作原理を説明していきますね。
2-1.シンクロジックの動作原理
シンクロジックは、npnトランジスタのコレクタ端子が外部入力端子、エミッタ端子が外部出力端子になっています。
制御出力機器内部の電源は使用しないので、外部電源が必要になる構造をしています。
例えば、リレーを駆動したい場合は、以下のような接続をすることになります。

制御出力機器の外部入力端子にリレー駆動用の電源(VCC)とコイルを接続し、制御出力機器の外部出力端子にGND(ここでは0[V]とする)を繋いでいます。
外部出力端子に関しては、制御出力機器内部のGNDと繋ぐことで、外部機器とGNDの共通化をしている場合もあります。
この回路図にて、制御出力機器のnpnトランジスタを動作させることが可能なベース電圧を制御端子にかけた場合に限り、リレー駆動用のコイルが励磁されてスイッチがONするようになります。
つまり、ベース端子にVCCが印加され、ベース端子からエミッタ端子に電流が流れ、コレクタ端子からエミッタ端子に電流が流れるようになった時に、スイッチがONになります。(図2上の状態)
逆に、制御端子電圧が0[V]になっている場合は、リレー駆動用のコイルに電流が流れない為、スイッチはOFFになります。(図2下の状態)
制御出力機器側に電流が流れ込んでくる…キッチンのシンク(流し台)のようなロジック(論理)になっていると覚えましょう。
2-2.ソースロジックの動作原理
ソースロジックは、pnpトランジスタのコレクタ端子が外部入力端子、GNDが外部出力端子になっています。
シンクロジックとは違って制御出力機器内部の電源を使用するので、外部電源を用意する必要はありません。
先程の例にならって、リレーを駆動したい場合の接続について見てみましょう。

制御出力機器の外部入力端子は外部機器とのGND(ここでは0[V]とする)の共通化に使用し、制御出力機器の外部出力端子にはリレー駆動用のコイルを接続します。
制御出力機器のベース端子にVCCをかけてもpnpトランジスタは動作しないので、リレーのコイルは励磁されずにスイッチはOFFになります。(図3上の状態)
逆に、制御端子電圧が0[V]になっている場合は、pnpトランジスタのエミッタ端子からベース端子の方向に電流が流れ込み、エミッタ端子からコレクタ端子に電流が流れるようになります。
その結果、リレー駆動用のコイルが励磁され、スイッチがONになります。(図3下の状態)
3.何故2種類の方式があるのか?
各方式の動作について説明したので、そもそも何故2種類の方式が存在するのかを簡単に補足説明しておきます。
と言っても、オープンコレクタ方式にnpn型とpnp型が存在する理由と同じですけどね。
シンクロジックもソースロジックもよくよく考えるとオープンコレクタ方式の延長でしかないので、2種類存在する理由もまた同じなのですよ。
元々シンクロジック(npn型トランジスタを使用)は日本国内で出回っていたのですが、ヨーロッパ方面で普及しているのはソースロジック(pnpトランジスタを使用)でした。
海外との取引も当たり前な世の中なので、日本国内でよく使用する製品はシンクロジック、国外輸出用の製品はソースロジックという具合に使い分けているのです。
また、安全性の面では、ソースロジックに軍配が上がります。
シンクロジックとソースロジックにて、仮に制御出力機器と外部機器を繋ぐ電線が異常により短絡してしまったらどうなるかを見ていきましょう。
制御出力機器側の端子間で短絡した場合、どちらの方式だったとしてもリレーをONにすることはできなくなりますが、意図せぬタイミングでリレーがONになってしまうようなことはありません。
問題は、外部機器側の端子間で短絡してしまった場合です。

この場合、シンクロジックだと制御出力機器の状態に関わらず、常にリレーがONしたままという誤動作した状態になってしまいます。
これって普通に考えて危険ですよね?
特定のタイミングでリレーをON/OFFしたかったのに、常にリレーONの状態で電流が流れたままになってしまうんですから。
回路の繋ぎをリレーで切り替えていたりしたら、意図していない回路同士が繋がってしまい、二次災害が発生するかもしれません。
では、ソースロジックはどうなるでしょうか?
図4を見てわかる通り、制御出力機器側にリレーを動作させるための電源があるので、リレーが強制的にONになるという誤動作が発生しないんです。
まあ、この途切れ方だとリレーをONにすることがそもそもできないんですけどね。
つまり、ソースロジックなら、想定通りに動作しないことはあっても、意図せずに回路に電流が流れるような誤動作は起こり得ないのです。
だから、ソースロジックの方が安全性が高いんです。
ヨーロッパの方が規格がキッチリしているので、あちら側ではソースロジックが使用されているのですよ。
シンクロジックは日本国内で使用されていることが多いですが、ソースロジックを使用していないというわけではありません。
機器によってはシンクロジックとソースロジックを切り替えできるような種類も存在します。
なので、制御出力機器を使用する場合は、しっかりと方式の確認をすることをおすすめします。
日本製だからシンクロジックだと高を括ってソースロジックだったなんてことがあったら、目も当てられないですから…。
ちなみに、シンクロジックはシンクやSync、ソースロジックはソースやSourceと省略して呼ばれていることがあります。
特に、英語表記の資料だと「Source-Sync」や「Source-Synchronous」などと記載されている場合があるので、注意しましょう。
シンクとかソースと言われても、シンクロジックとソースロジック以外の意味も普通にあるので、見慣れていないと咄嗟に連想できないんですよね。
以上、「制御出力機器の方式(シンクロジックとソースロジックの違い)」についての説明でした。