今回は、「ソレノイドバルブの直動式とパイロット式の違い」についての説明です。
1.初めに
ソレノイドバルブのデータシートを閲覧しているとよくわからない点はいくらでも出てきます。
(これはソレノイドバルブに限った話ではありませんが)
今回は、当たり前のように製品名にくっついていたりする直動式・パイロット式の違いについてまとめてみました。
メーカのサイトを閲覧しても全然情報が出てこなかったので、その道の方にとっては知っていて当たり前のことなのかもしれません。
ですが、私は機械屋さんが選定したソレノイドバルブを電気的に繋ぐ程度の使用練度なので、素人となんら変わりません。
つまり、知ってる体で書かれても全くわからんのです。
ということで、わからないなりに調べてまとめてみた結果がこの記事となります。
ソレノイドバルブの基礎的な内容は以下のリンク先にまとめてあるので、不安な場合は先にそちらから読んでもらった方がわかりやすいと思います。
2.直動式とパイロット式はそもそも何を表している?
ソレノイドバルブとは、ソレノイドによってバルブ内の弁を開閉し、流体を制御するものです。
直動式とパイロット式は“弁の開閉”をどのように行っているかを表しています。
“弁の開閉”をする方法は直動式とパイロット式の2つの方法しかありません。
各方式は名前から判断できるので、ここで一度目を通して覚えてしまいましょう。
3.直動式とは?
直動式は直接動かす方式です。
つまり、ソレノイドの電磁力で直接弁体を動かして流体を制御する方式を指しています。
余分な経路が不要で弁開閉時の口径を小さくしても問題ないというメリットはあります。
よく使われているのはパイロット式な気がしますが。
ちなみに、「ソレノイドバルブの構造と原理」の説明ではわかりやすい直動式のものを例にしていました。
4.パイロット式とは?
パイロットと言ったら飛行機などの操縦士を思い浮かべますよね。
意味合い的には[先導する・導く]となります。
ソレノイドバルブに関する“パイロット”は弁体の移動をどうにかして導くことを指しています。
その方法は、弁体を動かす為の補助弁を動かすというものです。
つまり、パイロット式は弁体を間接的に動かす方式ということです。
なので、[導く]というか[誘導する]という意味で捉えた方がしっくりきます。
なぜそんな遠回りなことをするのかというと、小さな労力で大きなものを動かせるからです。
例えば、リレーなんかはパイロット式と同じように考えることができます。
リレーは図1の赤枠で囲んだ部分に該当します。
リレーは、コイルに通電することで電磁力を発生させて可動接点を切り替えています。
その為、コイル側と接点側は絶縁されています。
なので、コイルを動作させるためにDC24V電源を接続して、接点側にDC48V電源を接続したりしても問題ありません。
この場合、DC24V電源の力で間接的にDC48V相当の力を引き出していると考えることができますよね?
このイメージがパイロット式です。
補助弁(リレーにおけるコイル)を小さな力(リレーにおけるDC24V電源)で動作させて、補助弁から流れ出た流体(リレーにおける電磁力)によって主弁(リレーにおける可動接点)を動かして主弁の流体(リレーにおけるDC48V電源)を誘導しているわけです。
補助弁を使わずに電気の力だけで以上の動作をさせようとすると結構な電力が必要になるので、電気以外の力も利用して省電力で大きな力を取り扱おうとしているのがパイロット式ということです。
直動式とパイロット式の違いについては以上です。
…直動式の反対なんだから間接式ではダメだったんですかね?
なんで片方漢字で片方カタカナ??
5.内部パイロットと外部パイロット
パイロット式の補足説明です。
パイロット式は主弁の切り替えさえできればいいので、補助弁を動かすのに利用する流体はソレノイドバルブ内部のものでも外部のものでも構いません。
その違いにより、内部パイロットと外部パイロットという分類があります。
内部パイロットは、ソレノイドバルブに流れる流体の一部が補助弁にも流れ込んでいます。
外部パイロットは、ソレノイドバルブに流れる流体とは別に外部のエアなどを補助弁に取り込んでいます。
まあ、名前通りの違いですね。
(ソレノイドバルブ)内部(の流体を利用して補助弁を制御する)パイロット式。
以上、「ソレノイドバルブの直動式とパイロット式の違い」についての説明でした。