今回は、「ソレノイドバルブ(電磁弁)」についての説明です。
1.初めに
そもそもソレノイドバルブという単語を聞いたことがありますでしょうか?
私は最近まで無かったです。
ですが、電磁弁という単語は聞いたことがありました。
実際に使用した訳ではなかったので何のことか理解してませんでしたけどね。
この電磁弁=ソレノイドバルブです。
ソレノイドバルブとは、その名の通りソレノイド部とバルブ部から構成されています。
ソレノイド部とバルブ部のそれぞれの役割は以下のようになっています。
電磁石の原理を用いて電磁力を発生させている。
この電磁力でバルブ部が駆動する。
電気エネルギーを運動エネルギー(直線運動が多い)に変換している。
流体(気体や油など)を流すか流さないか、流れる方向を変化させるといった制御を行う。
弁として機能するので電磁弁、弁部と呼ばれる。
また、流れる方向を制御する為、方向制御弁とも呼ばれる。
つまり、ソレノイドバルブとは「ソレノイドによってバルブを開閉して弁として扱い、流体を制御するもの」ということになります。
「蛇口を捻って水を出す」という動作を手動ではなく機械で行うイメージですね。

上部がソレノイド部、下部がバルブ部に当たります。
2.ポートについて
ソレノイドバルブにはポートと呼ばれる流体(気体や油など)の出入口(通路・接続口)があります。
基本的なポートには以下のような種類があります。
給気ポート:流体を取り込んで圧力をかける為のポート。「P」と表示される。
出力ポート:流体を出力するポート。「A」や「B」と表示される。
排気ポート:流体を排出して圧力を逃がすポート。「R」と表示される。
ポート数には2ポート、3ポート、4ポート、5ポートのものがあります。
ポート数ごとの構造や動きについては以下のようになっています。
流体(気体や油など)の流れを止める/止めないの2パターンで制御する。
その為、給気ポート(P)と出力ポート(A)から構成される。
蛇口の動きがまさにこれ。
弁部(バルブ部の弁として機能して電磁力によって動作する部分)が通常時に開いている(励磁時に閉じる)ものと、通常時に閉じている(励磁時に開く)ものがある。
前者をNO(ノーマリーオープン)と呼び、後者をNC(ノーマリークローズ)と呼ぶ。
この辺りのルールはリレーと同じ。

2ポート弁の給気ポート(P)と出力ポート(A)に加え、排気ポート(R)が追加されます。
給気ポート(P)と排気ポート(R)は片方が開いている時はもう片方が閉じるようになっている。
3ポート弁にもNOとNCが存在する。
前者は通常時は給気された状態、後者は通常は排気された状態となる。
3ポートの場合はNOとNCが混同しやすいので注意。
「2ポートの場合は通常時に閉じている(NC)⇒給気されない状態⇒3ポートのNCも通常時に給気されない⇒3ポートのNCは通常時に排気している」という思考です。

4ポート弁は、3ポート弁の給気ポート(P)と出力ポート(A)、排気ポート(R)に加え、出力ポート(B)が追加されます。
5ポート弁は、4ポート弁に排気ポート(R)が1つ追加されます。
5ポート弁の排気ポートは片方閉じている時にもう片方が開いているという状態に必ずなります。
その為、4ポート弁と動作が同じです。
違いは排気ポートが1つにまとめられているかどうかなので、構造が単純になる5ポート弁の方が一般的。
なので、5ポート弁のイメージ図のみ記載します。

3.DCソレノイドとACソレノイド
ソレノイドは、DC(直流)動作用とAC(交流)動作用のものがあります。
※ 両用のものもあります。
DCソレノイドとACソレノイドでメリットやデメリットがあるので、簡単にまとめました。
もっと詳しい違いを知りたい場合は他サイトを見てみよう!!
《DCソレノイド》
- ソレノイドの励磁電流の方向が一定なので騒音・振動が小さい。
- 吸引力がACソレノイドより弱い。
- ON/OFF時に突入電流が発生しない。
《ACソレノイド》
- ソレノイドの励磁電流の方向が一定ではないので騒音・振動が大きい。
- 吸引力がDCソレノイドより強い。
- ON/OFF時に突入電流が発生する。
DCソレノイドの方がパワーは劣るが安定した動作を期待でき、ACソレノイドの方がパワーがあるが動作が若干不安定という感じですね。
4.弁部の構造
ソレノイドバルブは、ソレノイドに電気を流すことにより弁部(バルブ部)が開閉します。
この弁部の構造は大きく分けて3つに分類されます。
弁体(ソレノイドの電磁力により実際に移動する部位)が弁座(弁体を受け止める部位)に対して垂直方向に駆動するタイプ。
お湯が張ってある湯舟から栓を抜くイメージを持てばわかるかと思いますが、弁を開こうとする際に流体の圧力が弁体にかかります。
その為、流体の圧力に逆らう向きに大きな力が必要。

円筒を串で貫いたような形状をした弁体を移動させてポートを切り替えるタイプ。
やっていることは3ポート弁や5ポート弁のイメージ図と同じで、弁部がダンベルみたいな形状になる。
ポペット式と違い、流体の圧力の影響を受けない向きに弁体が動く。

弁座に溝が設けられていて、弁体をスライドすることでポートを切り替える。
動作はスプール式と同じ。
※ イメージを掴みやすい図があまり無いので、実際に使う機会があったらまとめたいと思います。
5.用途について
ソレノイドバルブが実際にどんな場面に使われているかについて一部例を挙げます。
ここまで説明した通り、ソレノイドバルブのできることは流体の制御です。
なので、「畑に自動で水を撒く」、「シリンダを動作させる」といった使い方が可能です。
・畑に自動で水を撒く
水道の蛇口に当たる箇所をソレノイドバルブで制御し、タイマーと併用することで定期的に水を散布させることが可能。
・シリンダを動作せさせる
流体を出し入れすることにより、圧力でシリンダを動作させることが可能。
ちなみに、電動機であるアクチュエータに対し、空気圧で動くものをエアシリンダと呼びます。
仮に5ポート弁を使用した場合、以下のように動作します。

6.ソレノイドバルブ情報まとめリンク
個人的によく使用するソレノイドバルブについてまとめてリンクで飛ぶようにします。

以上、「ソレノイドバルブ(電磁弁)」についての説明でした。