今回は、「整流形計器の平均値と実効値」についての説明です。
1.ポイント
2.整流形計器とは?
整流形計器とは、整流器と可動コイル形計器を組み合わせた計器のことです。
整流器は交流を直流に変換する(整流する)機器、可動コイル形計器は直流専用の電圧計・電流計などのことです。
要は、整流形で交流を直流に変換し、可動コイル形計器で直流を測定するのが整流形計器ということです。
整流器を介するので、逆に直流は測れません。
そんな整流形計器ですが、実際に測定するのは平均値であって実効値ではありません。
そこで、整流形計器は平均値から実効値を割り出して目盛表示するようにできています。
つまり、整流形計器を読み取った時に10[V]を示していたら、それは実効値の10[V]になっているのです。
3.整流形計器の問題点
整流形計器は、通常20~20kHz帯という広い範囲での測定が可能で、消費電力が少なく感度も良好だと言われています。
ただ、この感度が良いという点が逆に問題となる場面があります。
それは、測定する交流波形にノイズが乗ってひずんでいた場合です。
ひずみ部分まで細かく検知されてしまうので、誤差が大きくなってしまうということです。
なので、ひずんでいる交流波形の場合は整流形計器を用いるべきではありません。
近似実効値整流方式という補正機能を持った計器を使用しましょう。
ちなみに、データシートなどに整流方式の違いにより実効値(RMS)の他に平均値整流形(MEAN)というものが載っていることがあります。
この平均値整流形が整流形計器を指しています。
実際の実効値と差があるのはここで説明した内容によるものだということですね。
4.実際の考え方
今、目盛りが正弦波交流に対する実効値になる整流形の電圧計があったとして、図1のような方形波の電圧値を測定したとします。
この時の整流形が指示する電圧値を計算で求めてみましょう。
整流形計器について思い出してほしいのですが、『実際に測定するのは平均値であって実効値では無い。平均値から実効値を割り出して目盛表示している。』と述べましたよね?
つまり、平均値を求めて、実効値に変換する必要があります。
なので、まずは平均値から割り出します。
10[ms]の間は6[V]、10[ms]の間は0[V]なので、平均すると(10×6+10×0)/20=3[V]になります。
まあ、方形波だし計算せずともわかりますよね。
ここで、波形率を適用します。
波形率は、波高率と共に「正弦波交流の平均値と実効値」で説明しています。
波形率=実効値÷平均値=1.11になるという関係です。
(※ 振幅Vの交流波形の実効値(V/√2)を平均値(2V/π)で割っただけだったりします。)
よって、実効値は平均値×1.11=3.33[V]ということになり、整流形計器が指示する電圧値は3.33[V]だとわかります。
地味に電験三種の過去問に出てきたことがありますので、受験を考えている方は覚えておくに越したことはないですよ?
以上、「整流形計器の平均値と実効値」についての説明でした。