【基礎から学ぶ電気回路】 ノートンの定理 ~複雑な回路を単一の内部抵抗のある電流源に変換する方法~

電気電子
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電気電子系は難しいイメージを持たれがちですが、基本から順番に抑えていけばそれほど難しいものではありません。
どんな分野にも言えることですが、最初はよくわからないものですから。
本記事では、電気初心者の方でもわかりやすいように、電気回路を理解するための基本中の基本から順を追って解説していきます。
まずは、直流回路についてです。

今回は、「ノートンの定理」についての説明です。

1.ポイント

ノートンの定理

複数の起電力と負荷を含む電気回路を単一の内部抵抗のある電流源に変換する方法。
この方法で変換した回路を「ノートンの等価回路」と呼ぶ。

2.ノートンの定理

複数の起電力と負荷を含む電気回路を単一の内部抵抗のある電圧源に変換する方法が「テブナンの定理」です。
それに対し、複数の起電力と負荷を含む電気回路を単一の内部抵抗のある電流源に変換する方法がノートンの定理です。

実例を用いて説明していきますね。
そもそも、複数の起電力と負荷を含む電気回路を単一の内部抵抗のある電流源に変換すると言葉で言われても良くわからないと思いますので、まずは図1をご覧下さい。

図1

図1左側の電気回路をノートンの定理に基づいて変換すると、図1右側のようになります。
図1右側の赤点線で囲った部分のことをノートンの等価回路と呼びます。
変換方法は置いといて、とてもスッキリした回路を作れる定理なのだということがわかりますね。

本題である変換方法の説明に移ります。
図2の電圧Vをノートンの定理を用いて求めていきます

図2

ノートンの等価回路は電流源Iと内部抵抗Rabにて構成されています
ポイントは以下の通りです。

  • ノートンの等価回路の電流源Iは、端子a-b間の短絡電流Iabに等しい
  • ノートンの等価回路の内部抵抗Rabは、電圧源を短絡除去した時のa-b間の合成抵抗に等しい。


まずは、ノートンの等価回路の電流源Iを求める方法についてです。
最初にノートンの定理を適用したい回路(a-b間から向かって左側)を切り離します。
ノートンの等価回路の電流源Iは、端子a-b間の短絡電流Iabに等しいので、「キルヒホッフの法則」に則って考えます。

図3

以上より、Iab=16/3[A]なので、ノートンの等価回路の電流源Iは16/3[A]となります

次に、ノートンの等価回路の内部抵抗Rabを求める方法についてです。
最初にノートンの定理を適用したい回路(a-b間から向かって左側)を切り離すのは電流源Iを求める際と同様です。
ノートンの等価回路の内部抵抗Rabは、切り離した回路から電圧源を短絡除去した時のa-b間の合成抵抗に等しいです。
短絡除去という言い方をすると難しそうですが、電源を無いものとして真っ直ぐに回路を繋ぐだけです。

図4

以上より、Rab=1.5[Ω]なので、ノートンの等価回路の内部抵抗Rabは1.5[Ω]となります
並列回路の合成抵抗の求め方を忘れた方はこちらをご覧下さい。

ノートンの等価回路の構成要素であるI及びRabを求めたので、全体の回路は図5のようになります。

図5

オームの法則より、電圧V=6.5[V]と求めることができました。

以上がノートンの定理を用いた変換方法です。
切り離した回路の短絡電流と合成抵抗を求めるとノートンの等価回路ができると大まかに覚えておきましょう。

ちなみに、「重ね合わせの理」「ミルマンの定理」でも算出可能なので、併せて理解しておくと便利です。

以上、「ノートンの定理」についての説明でした。