【基礎から学ぶ光電素子】 LEDに合わせた定電流ダイオードの選び方

電気電子
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

私たちの身の周りには、電気エネルギーと光エネルギーとの間で変換が可能な部品が存在します。
有名なものとしてはLED…発光ダイオードが挙げられます。
最近では電球型のLEDなんかも市販品として普及しているので、一般人でも手に取る機会は増えているかと思います。
そんなLEDですが、分類としては“光電素子”というものになります。
光電素子には様々な種類が存在しますので、その構造や動作などについてわかりやすくまとめていこうと思います。

今回は、「LEDに合わせた定電流ダイオードの選び方」についての説明です。

1.初めに

ダイオードにはツェナーダイオードショットキーバリアダイオードなど、様々な種類が存在します。
その中に、定電流を生み出すことができる定電流ダイオード(通称:CRD)というものがあります。

定電流回路をまともに組もうとすると結構複雑なのですが、定電流ダイオードがあればこれ一つで簡単に定電流を作り出すことが可能です。
その手軽さから、最近ではLEDとセットで使用されていることが多いです

今回は、実際に定電流ダイオードを使用することになった場合の選び方を簡単に説明していこうと思います。

2.気にするべきはピンチオフ電流と肩特性

定電流ダイオードの電流-電圧特性は図1のようになります。

図1

順方向領域に電圧が変動しても電流値が変化しない領域が存在するので、その領域内で使用することで定電流を作り出すことができます。
この時の定電流のことをピンチオフ電流と言います。
ある点を境に電流が一気に流れるようになるので、その電圧値は超えないように注意しましょう。
壊れます。

特性を見るとわかる通り、定電流を得られるまでは電流は大分変動してしまいます。
ですが、ピンチオフ電流の80%程度なら傾きが落ち着いて大体定電流を得られるようになっていますよね?
その為、ピンチオフ電流の80%に当たる電流とその時の電圧がデータシートに記載されていることがあります。
この値のことを肩特性と呼びます。
定電流を得るための条件として、肩特性以上で使用するように促してくれているわけです

記号としては、ピンチオフ電流の80%の電流がIK、ピンチオフ電流の80%の電流に対する電圧がVKと表示されていることが多いです。
なので、定電流ダイオードを使用する場合は、ピンチオフ電流以下、肩特性以上の範囲で使用する必要があるのです

3.実際の回路素子の選び方

実際にどうやって定電流ダイオードを選べば良いのか、クイズ形式でわかりやすく説明していこうと思います。

直流電源・定電流ダイオード・LEDを直列に繋いだ回路があったとします。

図2

LEDは、順方向電流IFは6[mA]、順方向電圧VFは2[V]で光らせたいとします。
この時、定電流ダイオードとして適しているのは以下のA~Dのどれでしょうか?

図3

まず、電流について考えてみましょう。

LEDの順方向電流IFが6[mA]なので、回路全体に流れる電流も6[mA]になります。
定電流ダイオードが作り出す定電流はピンチオフ電流のことなので、回路に6[mA]を流したいのならピンチオフ電流の範囲が6[mA]を含んでいる必要があります。
そう考えると、AとBのダイオードでは要求する定電流を作れないことがわかります。
なので、CかDのピンチオフ電流IPが5~7[mA]の定電流ダイオードが候補に残ります。

次は、電圧について考えます。

電源電圧5[V]に対してLEDの順方向電圧VFが2[V]になって欲しいといういうことは、定電流ダイオードには差分の3[V]がかかることになります。
その為、肩特性VKは3[V]未満にする必要があります。
仮に肩特性VKが3[V]のものを選択すると、3[V]以上の電圧が定電流ダイオードにかかってしまうからです。

よって、条件を満たしていて適切な定電流ダイオードはCということになります

ちなみに、最高使用電圧10[V]というのは、定電流でいられる上限が10[V]ということです。
要は、Cの定電流ダイオードなら2.5[V]~10[V]の範囲で定電流を作ることができるわけです。

以上、「LEDに合わせた定電流ダイオードの選び方」についての説明でした。