今回は、「キルヒホッフの法則」についての説明です。
1.キルヒホッフの法則
「キルヒホッフの法則」はドイツの物理学者グスタフ・キルヒホフが発見しました。
キルヒホッフさんではなく、キルヒホフさんです。
「キルヒホッフの法則」には、第1法則と第2法則があります。
それぞれの説明は以下の通りです。
電気回路の分岐点・合流点に流入する電流の総和=流出する電流の総和
言葉だけだとイメージが付きづらいので、図を使って考えるとすんなり理解できます。

図1左側は電流I0が分岐点に流入し、I1とI2として流出した場合の電流の関係です。
図1右側は電流I3とI4が合流点に流入し 、I5として流出した場合の電流の関係です。
ある物体に電流が流れ込んだ時、その物体を通過して出てくる電流量は流入した分と変わらないということです。
『あれ、それだけ?』と思うかもしれません。
はい。それだけです。
それだけが重要なんです。
ちなみに、第1法則の“電流は途中でなくなることはない”という特徴のことをKCL[Kirchhoff’s Current Law]と呼んでいて、小難しい文献ではよく見かけます。
閉回路内の起電力の和=電圧降下の和
閉回路とは、電流が流れる状態になっている電気回路のことです。
電圧降下とは、抵抗に電流が流れた際に発生する電圧のことです。
相変わらず言葉だけではわかりにくいので、図を使って説明していきます。
例えば、次のような電気回路があるとします。

この電気回路から、図3のように赤矢印部と青矢印部を抜き出して考えます。

それぞれ抜き出した回路についてですが、いずれも起電力があり、抵抗が繋がっているので何かしら電流が流れる電気回路になっていますよね?
つまり、閉回路になっているので、キルヒホッフの第2法則が適用できます。
キルヒホッフの第2法則に則った数式が図の下に書いてあります。
左辺が起電力の和、右辺が電圧降下の和です。
赤矢印部のように起電力が2つ以上ある場合は注意が必要です。
電流I1の向きを図のように定めている時、起電力E1から流れる電流の向きと電流I1の向きは同じですが、起電力E2から流れる電流の向きと電流I1の向きは逆です。
その為、左辺の起電力の和がE1+E2ではなく、E1-E2になります。
ちなみに、第2法則の“回路を一周すると電圧の和は0になる”という特徴のことをKVL(Kirchhoff’s Voltage Law)と呼んでいて、小難しい文献ではよく見かけます。
ちなみに、考え方としては「重ね合わせの理」、「テブナンの定理」、「ミルマンの定理」も併せて理解しておくと便利です。
以上、「キルヒホッフの法則」についての説明でした。