今回は、「磁界中に強磁性体を置いた場合の磁束の変化」についての説明です。
1.ポイント
強磁性体の内部は磁束が通りやすくなっているので、周囲の磁束が強磁性体内部を通るようになる。
2.磁界中に強磁性体を置いた場合の磁束の変化
磁束密度Bの一様な磁界が存在したとします。
その磁界の中に強磁性体(鉄など)を置いた場合、強磁性体周囲の磁束は強磁性体の中を通るようになります。
これは、強磁性体は磁束を通しやすい(吸収しやすい)性質を持つからです。
つまり、図1のような変化が起こるわけですね。

なので、強磁性体の比透磁率μsは1より非常に大きくなります。
3.磁気シールド効果(磁気遮蔽)
磁気は、遮蔽物があってもそれを貫通して影響を及ぼしてきます。
例えば、磁石と磁石の間に紙・木材・アルミニウムなどを挟んだとして、片方の磁石を動かすとそれに追従してもう片方の磁石が動きます。
理科の実験で似たようなことをやったことがあるという方がいるのではないでしょうか?
この磁気ですが、方位磁石を狂わせたり、電気信号のノイズになったりと、悪い影響を及ぼしてくる場合もあります。
ノイズの影響があるなら絶縁体などでシールドを形成するのが一般的なのですが、ここで問題が生じます。
最初に言ったように、磁気は遮蔽物があっても貫通してくるんですよ。
つまり、絶縁体で囲ったりしても意味を成さないんですね。
ではどうすれば良いと思いますか?
答えは、“強磁性体で囲む”です。
強磁性体に磁束を吸収させて磁気の通り道を作ってあげることで中身を守ろうというわけです。
このような手法を磁気シールド、もしくは磁気遮蔽と呼びます。
例えば、図2のように強磁性体で囲まれた部屋があった場合、磁束は壁や床を通過していくので、室外の磁気の影響は室内にはほとんど現れなくなります。
逆に、室内に磁気を発する物質を持ち込んだとしても、室外に影響を及ぼすこともなくなるわけです。
部屋内/部屋外で完全に遮断されるんですね。

以上、「磁界中に強磁性体を置いた場合の磁束の変化」についての説明でした。