今回は、「ダイオードと並列に繋がれた回路の考え方」についての説明です。
1.ダイオードと電源を並列に繋いだ場合
図1のようにダイオードと電流源が並列に繋がれた回路があります。
このダイオードに流れる電流を求めてみましょう。
前提条件として、ダイオードは理想ダイオードとします。
理想ダイオードとは何か知らない・忘れたという方は先に以下の記事を読んでください。
ちなみに、電流源を例としていますが、電圧源だろうが電流源だろうが考え方は変わりません。
大切なのはダイオードがON/OFFどちらになっているか、それだけです。
まあ、まずはどうなるか見てみましょう。
理想ダイオードは順方向に電圧がかかるとONになります。
図1を見ると、厳密にどんな経路で電流が流れるのかを理解できていなかったとしても、ダイオードに電流が流れる向きに回路が繋がっているだろうということはわかるかと思います。
つまり、ダイオードはONになっています。
※ ちゃんと理解したい場合は、「電圧源と電流源を含む回路の考え方 」の説明を読んだ上で考えてみてください。
理想ダイオードがONになる場合、順方向電圧(電圧降下)が0Vで内部抵抗も0Ω扱いになります。
以上を踏まえると、図1は図2のように考えることができます。
キルヒホッフの法則より電流の流入量と流出量は等しいとわかっているので、10mAの電流源によりBからAの方向に合計で10mAの電流が流れていることがわかります。
AB間にはダイオード(今は短絡している)と2mA電流源と5kΩ抵抗が並列に接続されています。
なので、2mA電流源の存在により10mA中の8mAが電流源以外に流れます。
よって、ダイオードに流れる電流は8mAだとわかります。
一応補足説明をすると、理想ダイオードは抵抗値0Ωなのに対して抵抗Rは5kΩの抵抗値なので、抵抗が小さい(電流が流れやすい)ダイオードにほとんど全ての電流が流れます。
だから8mAです。
2.ダイオードを順方向と逆方向へ並列に繋いだ場合
図3のようにダイオードが2つ並列に繋がれた回路があります。
ダイオードD1に流れる電流ID1及びダイオードD2に流れる電流ID2の大きさを求めてみましょう。
前提条件として、ダイオードは理想ダイオードとします。
この繋ぎの場合、電源に対してD1が順方向、D2が逆方向に繋がれていることになります。
なので、理想ダイオードの特性から、D1は順方向電圧がかかるのでONになって導通しますが、逆方向に繋がれているD2にはそもそも電流が流れないと言えます。
以上の関係から、D1の位置は短絡、D2の位置は開放されていると考えることができます。
すると、図3右のような電源と抵抗が繋がっただけの回路と見なすことができます。
抵抗に流れる電流はD1(短絡箇所)に流れる電流と等しいので、ID1=10[V]/2[kΩ]=5[mA]、ID2=0[mA]が答えです。
たまに回路保護という名目でダイオードが負荷と逆方向に並列接続してあったりするのはこの関係を利用していたりします。
電源を逆接続してしまった場合にダイオードに電流が流れるようにして、負荷を守ろうという魂胆です。
ちなみに、教科書や問題集に同じような問題が載っていた場合は、求める電流の矢印の向きに注意しましょう。
仮にID1の矢印の向きが右から左の向きに描いてあった場合、ID1=-5[mA]になります。
ここでの説明では電流の大きさを求めたのでプラスもマイナスも関係ないですが、結構ひっかけ問題があります。
根本からの理解を促す措置なのかもしれませんが、合格基準があったりする場合はただただ厭らしいですね。
以上、「ダイオードと並列に繋がれた回路の考え方」についての説明でした。