今回は、「電気二重層コンデンサ」についての説明です。
1.電気二重層コンデンサとは?
電気二重層コンデンサは、英語で[Electric Double Layer Capacitor]と書くので、略してEDLCとも呼ばれています。
電気二重層キャパシタと呼ばれていることもあります。
簡単に言うと、コンデンサとバッテリー(二次電池)の中間のような特徴を持つコンデンサが電気二重層コンデンサです。
普通のコンデンサは電極の間に誘電体が挟まれた構造をしているのですが、電気二重層コンデンサは誘電体を使用していないです。
電気二重層コンデンサは活性炭電極と電解液から成るコンデンサで、活性炭電極と電解液の界面に電気二重層という誘電体代わりになる層を形成することにより動作します。
だから名称に電気二重層と付いているんですね。
ちなみに、活性炭が選ばれている理由は、多孔質で表面積が大きいので、その分多くの電荷を蓄えることができるからです。
2.電気二重層コンデンサとバッテリーの違い
バッテリーは充電/放電時に化学反応を利用しています。
化学反応しきるまで待つ必要があるので、充電には数時間かかることもあります。
また、放電時は問題無いのですが、充電時にちょっとした問題があります。
化学反応用の電解液が酸素ガスと水素ガスに分解されて放出されてしまうのです。
するとどうなるかと言うと、電解液が徐々に減っていってしまいます。
その為、バッテリーには寿命があります。
それに対して電気二重層コンデンサは、活性炭電極の表面にイオンを吸着させることで電気二重層を形成しているので、充電に時間がかかりません。
数秒で完了します。
また、バッテリーのように電解液のロスがあるわけではないので、原理的には無制限に充電が可能です。
実際は発熱による劣化などがあるので、長寿命という認識が正しいですけどね。
3.電気二重層コンデンサの特徴
電気二重層コンデンサは、バッテリーよりエネルギー密度(単位重量または単位容積当たりに蓄えられるエネルギー量)では劣りますが、出力密度(単位重量または単位容積当たりの瞬間出力電力の大きさ)では勝ります。
また、電解コンデンサに比べると膨大な容量を持っており、急速充電が可能な点と充放電の回数に制限が無いというメリットがあります。
実際にどの程度違うのかと言うと、電解コンデンサは680μFのように単位にμ(マイクロ/10-6のこと)が付いています。
それに対して電気二重層コンデンサは、小型製品なら1F以下、大型製品なら2000Fを超える種類も存在します。
文字通り桁が違うんですね。
バッテリーとの違いも含めてここまで説明した電気二重層コンデンサの特徴をまとめると以下のようになります。
- コンデンサとバッテリーの中間のような特徴を持つ。
- 急速充電が可能。
- 長寿命。
その為、製品によってはバッテリー代わりに使用していることもあります。
そんなに電気を必要としない用途である電源オフ時のメモリデータ保護用電源とかね。
4.電気二重層コンデンサとスーパーキャパシタの違い
私は以前働いていた職場で電気二重層コンデンサとスーパーキャパシタは同じものだと教えられていましたが、改めて調べ直すと微妙に違ったので一応記述しておきます。
簡潔に述べると、スーパーキャパシタの種類の一つが電気二重層コンデンサで、最も主流なスーパーキャパシタが電気二重層コンデンサです。
なので、電気二重層コンデンサを指してスーパーキャパシタと呼ぶ分には問題は無いけど、スーパーキャパシタを指して電気二重層コンデンサと呼んでしまうのは間違っている可能性があるわけですね。
スーパーキャパシタは、電気二重層コンデンサ(キャパシタ)・疑似コンデンサ(キャパシタ)・ハイブリッドコンデンサ(キャパシタ)の3種類に分類されます。
先程述べたように、主流は電気二重層コンデンサなので、それ以外の情報は調べてもあまり出てきません。
「~反応を利用する」とかそんな説明ばかりなので、説明は割愛します。
代表として電気二重層コンデンサだけ覚えておきましょう。
ちなみに、スーパーキャパシタはウルトラキャパシタと呼ばれていることがあります。
スーパー・ハイパー・ウルトラとかその辺りのネーミングセンスは正直どうかと思う。
以上、「電気二重層コンデンサ」についての説明でした。