今回は、「家の電気はどのように供給されているのか」についての説明です。
1.初めに
照明・家電製品・スマートフォン…私たちの身の周りには電子機器が溢れています。
照明はスイッチを押せば勝手に点きますし、家電製品はコンセントに電源プラグを挿すだけで使用できます。
スマートフォンもコンセントに充電器を挿すだけで充電できますね。
このように私たちの生活には欠かせない電気ですが、そもそもどのようにして家まで供給されているのでしょうか?
今回はそこに焦点を当てて解説していこうと思います。
ちなみに、コンセントについては別途まとめてあるので、コンセントの種類や仕組みを知りたい場合は以下の記事を参考にしてみてください。
2.大元は発電所で作られる
トップ画像に以下のような大きなプロペラが載せてありますが、これは何なのかは大体の人が知っているのではないでしょうか?
そう、風力発電のプロペラですね。
風力発電はその名の通り、風の力を使って電気を発して(作って)います。
大雑把に説明すると、風でプロペラが回って運動エネルギーが発生するので、発電機にて運動エネルギーが電気エネルギーに変換されるといった感じです。
電気を流してコイルを回転させる実験を小学校でやったことがあるかもしれませんが、アレの逆バージョンということです。
他にも、ダムで水力発電していたり、太陽光で太陽光発電をしていたり、化石燃料を燃やして火力発電をしていたり、原子力発電をしていたり…どこかしらで何かを利用して発電しているということは周知の事実かと思います。
学校で習ったりニュースで出てきますからね。
これらの発電設備にて作られた電気が、私たちの家庭に供給されている電気の大元です。
まあ、“発電”と謳っているので予想はできるでしょうけど。
3.発電所の所在地と伝送方法
さて、発電所があるのはわかりましたが、私たちの生活圏で大規模な発電所を見たことってありますか?
おそらく無いのではないでしょうか?
それもその筈、基本的に大量の電気を生み出す大規模な発電所は人里離れた場所に設置されています。
設備が大きいので場所を取りますし、近くに民家があると発電所に何かあった時に付近に被害が出るかもしれません。
比較的簡単に電気を長距離送電できる技術が存在するので、人里近くに置くメリットがそこまで無いんです。
ここからの説明には基本的な電気の理解が必要になりますので、電圧・電流・抵抗などの意味を分かっていない場合は、先に以下の記事を読んでみてください。
同じ電気エネルギーを遠くまで送る場合、高電圧・低電流にすると電気エネルギーの損失が少なくなり、より効率的に電気を送り届けることができるようになります。
これは、電流が大きいと電気を送るための送電線が熱くなり、その分エネルギーを損失してしまうという理由によるものです。
また、発電所から距離のある場所に電気を送る場合は送電線が長くなりますので、送電線の抵抗(電気の流れにくさのこと)が大きくなります。
抵抗が大きいと電気を流すのに大きな電圧が必要になります。
これらの理由から、大規模な発電所では発電した電気を更に高い電圧に敢えて変圧(昇圧)しています。
どの程度の電圧かと言うと、500kVにも上ることがあります。
一般家庭にはコンセントへ100Vが供給されているので、桁違いの電圧だとわかりますね。
4.変電所の役割と契約電力と供給電圧の関係
しれっと500kVで送電されてきた電圧が家庭に届くときには100Vになっていると説明したわけですが、これは各地の変電所で段階的に変圧(降圧)していくことでちょうど良い電圧まで引き下げることにより実現されています。
変圧器で簡単に電圧を変化させることができるので、そうした方が効率が良いのです。
では、なんで100Vにしているのでしょうか?
それは、供給先と電力会社の契約によって何Vまで供給できるのか定められているからです。
具体的には、以下のように定められています。
契約電力 | 供給電圧 |
---|---|
50kW未満 | 100V or 200V(低圧) |
50kW以上2,000kW未満 | 6,600V(高圧) |
2,000kW以上 | 特別高圧 |
※低圧・高圧・特別高圧の定義。(電気事業法という法律で明確に区分されている。)
低圧:AC600V以下、DC750V以下
高圧:AC600Vより上且つ7,000V以下、DC750Vより上且つ7,000V以下
特別高圧:AC7,000Vより上、DC7,000Vより上
こんな感じで決められているので、それに則っているわけです。
それに合わせて家庭用の家電などが設計されているのです。
5.家の電気はどのように供給されているのか?
ここまでの内容で家に電気が供給される大まかな流れは説明したので、一旦まとめます。
図で表すと以下のようなイメージになります。
ややこしくなるので説明をすっ飛ばしたところはありますが、大体はこんな感じです。
要するに、人里離れた大規模な発電所で発電、高圧変電所で高電圧に変圧、変電所をいくつも経由して段階的に降圧、配線用変電所から電信柱経由で電気が送られ、柱上変圧器や配電箱で100Vになった電気が家庭に供給される…という流れになります。
柱上変圧器というのは、電信柱の上の方をよく見るとなんかあります。
この真ん中の大きな筒状の機器のことです。
配電箱もどこかで見たことがあるような見た目をしています。
普段意識していないだけで、この辺りは普通に周りにあるんですよね。
ちなみに、工場・ビル・新幹線のような設備の場合は100Vよりももっと大きな電圧が必要になるので、変電所や配線用変電所から直接電気が送られているような経路になっていたりします。
あくまで今回は家庭に電気が送られる仕組みについてまとめていますので、その辺りの話は全カットしています。
そこまでまとめると情報過多になってどんどん脱線していくので、「家庭に電気が送られる仕組み」にフォーカスすると邪魔になったんですよね。
以上、「家の電気はどのように供給されているのか」についての説明でした。