今回は、「dB・デシベル」についての説明です。
1.利得とは?
電気回路における入力と出力の比のことを利得と呼びます。
増幅度のことを指しているので、ゲインとも呼びます。
入力に対して出力がどうなるかを示しているので、出力÷入力が利得です。
トランジスタのような増幅作用のある電子部品について考えていると利得は度々登場します。
利得の単位は「デシベル/dB」で表していることが多いです。
入力と出力の比をそのまま表示する場合は単位は付けません。
例えば、1[mV]の電圧がある増幅器を通すと10[mV]に増幅されたとします。
この場合、電圧の利得は20[dB]と表されます。
比で表すと10倍になっているので、入力と出力の比(電圧増幅度)をそのまま表示するなら10となります。
入力と出力の比なら見たままなのですが、デシベル表示の場合はちゃんと計算方法を知っていないと実際の増幅率のイメージができません。
ここからは、そんなデシベル表示について説明していきます。
利得には、電圧利得・電流利得・電力利得が存在しますので、順番に説明していきますね。
2.dBとは?デシベルとは?
そもそもdBとはなんなのかを先に説明しておきます。
dBとは、電力や音の強さの比較・減衰などを表す時に使用する単位のことです。
わかりやすい例えは騒音レベルです。
人がギリギリ聞き取れる音 | 0dB |
置時計の秒針 | 20dB |
日常会話 | 60dB |
地下鉄の車内 / ピアノ | 80dB |
カラオケ | 90dB |
飛行機のエンジン音 | 120dB |
程度・種類・距離などの状況により変化しますが、大体こんな感じになるようです。
dBを用いる理由は、特定の値を基準とするためです。
上の騒音レベルで「人がギリギリ聞き取れる音」が0dBになっていますよね?
この0dBが基準です。
こうして基準を設けることにより、この基準に対して日常会話や飛行機のエンジン音がどの程度五月蠅いのかが相対的に判断できるようになるのです。
たまにdBmやdBμのような変わった単位があります。
仮に電圧の単位がdBmやdBμになっていたとします。
この場合、前者は1mVを0dBmと定義した時の電圧の単位、後者は1μVを0dBμと定義した時の電圧の単位を意味します。
こんな感じに基準を設けてあるのです。
具体的な計算方法は別途まとめてありますので、気になる方は以下の記事をご覧ください。

3.電圧利得の考え方
電圧利得をGv、電圧増幅度をAvと置くと、電圧利得は以下のように表せます。
Gv=20log10Av
対数であるlogの理解が必要です。
いつか別途まとめると思いますので、簡単な説明だけ記述しますね。
例えば、log1010なら答えは1になります。
考え方は簡単で、赤字で示した数字が10の何乗になっているかを考えてみてください。
この例の場合は101ですよね?
だから答えは1です。
log10100なら答えは2です。
logの後ろの小さい数字の何乗になっているかを考えるのがポイントです。
このlogの計算を対数を取ると言います。
なので、電圧利得は電圧増幅度の対数を取ったものの20倍になるということです。
4.電流利得の考え方
電流利得をGi、電流増幅度をAiと置くと、電流利得は以下のように表せます。
Gi=20log10Ai
なので、電流利得は電流増幅度の対数を取ったものの20倍になるということです。
電圧と考え方は同じです。
5.電力利得の考え方
電力利得をGp、電力増幅度をApと置くと、電力利得は以下のように表せます。
Gp=10log10Ap
なので、電力利得は電力増幅度の対数を取ったものの10倍になるということです。
電圧利得と電流利得は20倍でしたが、電力利得は10倍です。
間違えないように注意しましょう。
ちなみに、ただ単に利得と書かれていた場合、電力利得を指しているのが一般的です。
以上、「dB・デシベル」についての説明でした。