今回は、「コネクタ」についての説明です。
1.初めに
コネクタとは、電気信号を中継接続するための部品のことです。
電線同士を繋ぐ中継となったり、電線と機器を接続したりと至るところに使用されています。
スマートフォンを充電する時に挿すケーブル、PCを有線接続する時のLANケーブル、電気製品の電源プラグ…これらの接続箇所に当たるのがコネクタです。
取り外しが容易なので、ケーブルの中継用として気軽に使用できたり、メンテナンス性が上がるといったメリットがあります。
寧ろ、無いと困ります。
この記事では、そんなコネクタの分類やイメージについてまとめていこうと思います。
2.コネクタの構造
コネクタの種類は膨大ですが、基本的にはハウジングとコンタクトの2ピースから構成されています。
ハウジング内部にはコンタクトを挿入すると固定される機構がついているので、奥まで押し込めば「カチッ」というロック音が聞こえます。
ロックされた状態では軽い力で引っ張っても抜けません。
当然ですが、強く引っ張るとハウジングが壊れたり、コンタクトの圧着部分がすっぽ抜けたり、電線部分が断線したりしますので、乱暴には取り扱わないでくださいね?
ハウジングからコンタクトを抜きたい場合は、コンタクトのロックを解除してあげる必要があります。
では、どうやってロックを解除するのかと言うと、精密ドライバーもしくは専用の抜き治具を使用します。
コネクタによって抜き治具があるものと無いものがあるので注意しましょう。
例えば、ヒロセ社製のDF62というシリーズは専用の抜き治具が必要で、JST社製のコネクタは大概精密ドライバーで抜くことが可能です。
コンタクトはロックされるという話をしましたが、このロック機構も完璧ではなく、うまくロックできていなくてコンタクトが半挿入された状態でコネクタを嵌合してしまいコンタクトがショートして不具合が発生するというような事例もあります。
ほぼ人的ミスですけどね。
そんな現象を予防するための措置としてリテーナーという部品の付いたコネクタがあります。
2ピースで構成されていないコネクタの一つの例ですね。
リテーナーは二重係止とも呼ばれます。
二重係止という名前から想像できますが、リテーナーはハウジングが一段階コンタクトを固定するのに加え、もう一段階固定してくれる部品です。
二重に固定してくれるということです。
通常よりもガッツリと固定される為、コンタクトの抜け防止対策にもなります。
仮にコンタクトが半挿入状態になっていた場合はリテーナーを嵌めることができませんので、確実にコンタクトを挿入することができます。
便利ですが、コンタクトを抜く際はリテーナーを外す必要があるという点だけは注意しましょう。
3.コネクタの形態
コネクタには、大きく分けて4つの形態(使われ方)があります。
1.基板同士を電線で接続する。
Board to Wireと呼ばれ、B to Wと記載されることもある。
基板~電線~基板という繋ぎ方をする為、コネクタ目線で考えると基板[Board]と電線[Wire]を繋いでいるというだけの話。
2.基板同士を直接接続する。
Board to Boardと呼ばれ、B to Bと記載されることもある。
基板~基板という繋ぎ方をする為、コネクタ目線で考えると基板[Board]と基板[Board]を繋いでいるというだけの話。
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のタワービルディングタイプなどの製品が該当。
3.機器同士を接続する。
INPUT/OUTPUTで表されるので、略してI/Oと呼ばれている。
4.その他
中継用コネクタなど。
この辺りの区分は別に覚える必要は無いと思いますけどね。
どちらかというと、プリント基板用に使われているコネクタなのか中継接続用に使われるコネクタなのかという区分で覚えた方が実用的な気がします。
4.コネクタのオスメスの区別
コネクタ同士を嵌合する場合、挿す側(凸型)のコネクタと挿される側(凹型)のコネクタがあります。
一般的な視点では挿す側がオス、挿される側がメスと呼びますね。
なぜそう呼ばれるのかわからないピュアな方はパパママに是非聞いてみてください(^^)
さて、ここで疑問なのですが、コネクタの場合何を以てオスコネクタ・メスコネクタと区別しているのでしょうか?
私は、当初コネクタというユニット単位で考えて挿す側をオスコネクタ、挿される側をメスコネクタと呼ぶのかと思っていましたが、実際は違うようです。
(その区別をしている人はいますし、間違いというわけでもないのかもしれませんけど)
これに関しては調べれば調べるほどよくわからなくなります。
何故かというと、メーカによってオスメスを決定する基準が異なっているからです。
その為、よくある区別方法を記述していきます。
この区別方法は、コネクタ単位ではなく、ハウジング・コンタクト単位で分けて考える必要があります。
ハウジング単位で考えると、挿す側をプラグ、挿される側をレセプタクルと呼びます。
レセプタクルはソケットとも呼ばれ、企業によってはリセプタクルと呼んでたりもします。
コンタクト単位で考えると、挿す側をピンコンタクト、挿される側をソケットコンタクトと呼びます。
ただ、それぞれ呼び名が一つではありません。
いくつか例を示しますが、他にもあるかもしれません。
ピンコンタクト:タブコンタクト・オスピン・オスタブ・オス端子
ソケットコンタクト:レセプタクルコンタクト・リセプタクルコンタクト・メスピン・メス端子
つまり、以下のような組み合わせが一般的となります。
コネクタ単位で考えるとメスとオスに当たるパーツが両方使用されていることになるので、ややこしいですね。
基本的には以上のような認識で問題ないと思うのですが、TE(AMP・TYCOなど呼び方は様々)社製のコネクタなんかだとタブハウジングに対応したコンタクトがタブコンタクトという名称になっていて混乱します。
その為、メーカごとに定めている名称で判断するのではなく、形状で判断するのが大切です。
また、メーカごとの特徴を覚えて自分なりに整理しておくのが良いと思います。
5.基板用コネクタのタイプ
プリント基板に実装するコネクタにはいくつかタイプがあります。
まず、実装の仕方でDIPタイプとSMTタイプに分かれます。
このタイプ分けはコネクタに留まらず、様々なデバイスにも該当します。
このDIPタイプとSMTタイプのコネクタの実装向きによりまた2つのタイプに分かれます。
プリント基板に対して嵌合面が平行となるタイプのコネクタをトップ型・ストレート型、プリント基板に対して嵌合面が垂直となるタイプのコネクタをサイド型・ライトアングル型と呼びます。
ストレート型の場合、たまにボスあり・ボス無しという記載のあるものがあります。
ボスとは、コネクタ底面に存在する突起のことです。
この突起用の穴をプリント基板に用意することで、位置決めをより確実にするという効果があります。
ボスが一つしかないタイプの場合は、挿し間違え防止にもなります。
手付けする場合は便利ですが、マウンター(機械)で実装する分には基本的に不要です。
6.コネクタの種類
コネクタには様々な種類がありますので、いくつか抜粋して紹介したいと思います。
7.コネクタのキーイング
コネクタについて調べてデータシートを見ていると、Xキー・Yキーといった表記を見かけることがあります。
これはキーイングと言って、コネクタの挿し間違え防止の措置の1つです。
スリット(溝や出っ張り)の位置を変えることで、同じコネクタでもXキー同士、Yキー同士でしか嵌合できなくなります。
図3のようにわざと出っ張りを用意しておいて、嵌合相手はその出っ張りに合わせた溝を用意します。
そうすれば、出っ張りの位置が異なるコネクタ同士は嵌合できなくなるという寸法です。
以上、「コネクタ」についての説明でした。