今回は、「電線径の表現方法」についての説明です。
1.初めに
電線は種類によってどの程度の電流を流せるかが決まっています。
導線と絶縁被覆の種類によって特性が変わりますからね。
例えば、電気伝導性が高い導体と熱に強い絶縁被覆を使っていれば、単純により多くの電流を流せるわけです。
ただ、導線と絶縁被覆以外にも気にするべきものがあります。
それは電線径です。
導体に流せる電流は導体の断面積に比例して大きくなるので、導体の太さによって流せる電流は大きく変化します。
なので、電線を選定する場合は、想定する使用用途では何A程度流れるのかを考え、その電流を流しても余裕を持って耐えられる電線を選ぶ必要があります。
そこで、電線メーカ側は、『普遍的なA電線でこの電線径なら定格電流は○○A』、『高耐圧品のB電線でこの電線径なら定格電流は××A』という具合に、電線種類・電線径・定格電流の一覧表を用意している場合が多いです。
こうしておけば、使用用途に適した電線種類と電線径をユーザが簡単に選ぶことができますからね。
今回は、そんな電線径の表現方法であるAWG表示とsq表示について簡単に解説していきます。
2.電線径の表現方法
電線のサイズは、日本では導体の断面積で表します。
導体であって電線自体の断面積でない点に注意が必要です。
電線被覆が厚いので太く見えているけど、導線はそこまで太くないという場合もありますからね。
単線の場合は単線の断面積、撚線の場合は撚線の断面積の総和(撚っている素線1本の断面積×素線本数)となります。
撚線の場合は見た感じの大体の断面積ではないことに注意しましょう。
電線径は、AWGとsqの2パターンの表し方があります。
3.AWGとsqの換算表
AWGはアメリカで使用されている為、inchが基準にされています。
1 inch=25.4 mm
その為、AWGをsqに換算すると割り切れない値になります。
AWGとsqの換算表を以下に示しますが、AWGが小さくなるほど誤差が大きくなるので注意しましょう。
sq[mm2]の方が実際の断面積を表していますが、JIS規格の対応サイズとしてはsqの値を取り扱います。
sq | sq[mm2] | |
---|---|---|
AWG 4/0 | 100 | 107.2 |
AWG 3/0 | 80 | 85.03 |
AWG 2/0 | 60 | 67.42 |
AWG 1/0 | 60 | 53.49 |
AWG 1 | 38 | 42.41 |
AWG 2 | 38 | 33.63 |
AWG 4 | 22 | 21.15 |
AWG 6 | 14 | 13.30 |
AWG 8 | 8 | 8.368 |
AWG 10 | 5.5 | 5.262 |
AWG 12 | 3.5 | 3.309 |
AWG 14 | 2 | 2.081 |
AWG 16 | 1.25 | 1.309 |
AWG 18 | 0.75 | 0.823 |
AWG 20 | 0.5 | 0.517 |
AWG 22 | 0.3 | 0.325 |
AWG 24 | 0.2 | 0.204 |
AWG 26 | 0.12 | 0.128 |
AWG 28 | 0.08 | 0.0804 |
AWG 30 | 0.05 | 0.0507 |
換算方法について一応触れておきます。
AWGは導線の直径をinchで表していて、AWG〇〇毎に何inchか定められています。
例えば、AWG20の場合は導線の直径は0.0320inchとされています。
1 inch=25.4 mmなので、0.032×25.4=0.8128mmが導線の直径となります。
半径は0.4064mmなので、半径×半径×πで面積を求めれば大体sq[mm2]の値になります。
撚線の場合、7/0.08[本/mm]といった記載がデータシートなどにされている場合があります。
これは、直径0.08mmの電線が7本撚ってあるということです。
この情報から電線径を算出しなければいけない場合があったら、半径×半径×π×本数で計算しましょう。
また、断面積が大きいものは「kcmil」という単位で表されている場合があります。
1kcmil=1MCM=0.5067mm2
以上、「電線径の表現方法」についての説明でした。