【AutoCADの手引き】 ARRAYPATHコマンド ~オブジェクトをパスに沿って配列複写する~

CAD
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

AutoCAD用の個人的なメモ・ヘルプです。
私が使用しているのは「Autodesk AutoCAD LT 2019」です。
使用バージョンによってやり方が異なる可能性があるので注意です。
この記事は、私が過去に困った際の解決方法をまとめています。
同様の条件で途方にくれている人がいましたら役に立つかもしれません。

今回は、ARRAYPATHコマンドの使い方について記述していきます。

1.コマンドとは?

コマンドは、特定の文字列を直接入力することで使用可能な機能のことです
画面上部のエリア(ツールバー?メニューバー??)に存在するものもありますが、慣れると探すよりも入力した方が早くなります。

コマンドの種類は多彩な上に検索しても機械的な説明ばかりでわかりづらいものが多い為、実際に使ってみた具合を書き残しておこうという魂胆の記事となっています。

肝心のコマンドの使い方ですが、画面下に「ここにコマンドを入力」というエリアがあるので、ここに入力すれば問題ないです。
わざわざそこをクリックせずとも適当にキーボード入力しても反応してくれますけどね

コマンドを使用する場合は、まず初めにEscapeキー(キーボード左上のescキー)を押すことを推奨します
これを推奨する理由は、誤って図面内の何かを選択してしまっていた場合にコマンドの暴発を防ぐためです。
コマンドによっては特定のオブジェクト(線・円・テキストボックスなどのこと)を選択してからコマンドを入力という手順でも機能しますので、とりあえずescキーを押す癖を付けておくとミスが減りますよ?
また、特定のコマンドは解除しなければ連続して発動するものがあるので、終わり際にもescキーを押しましょう。

ちなみに、説明で使用している図はAutoCADではなくExcelで描いています。
理由は単純で、記事をまとめているのは自宅、つまり自宅PCにAutoCADなんて入ってないからです。
家のPCに製品版AutoCAD突っ込んでも使い道ないしさ…仕方ないね。

2.ARRAYPATHの機能

「ARRAYPATH」は、オブジェクトをパスに沿って配列複写する機能です。

パスと言うとイメージがしづらいですが、要は線分や曲線のことです
パスとして選べるオブジェクトは、線分・円・円弧・楕円に加えてポリライン(途中で折れ曲がったりしても一つのオブジェクトとして認識される線、Excelのフリーフォームみたいなモノ)にも対応しています
パスに沿って複写されるので、パスと複写したいオブジェクトの位置関係には注意が必要です。

例えば、ポリラインをパスに設定して円を複製しようとした場合、円の位置により図1のように複写のされ方が変化します。

図1

ポリラインの末端に円がある場合は綺麗に沿ってくれるのですが、ポリラインから若干離れている場合は一部何とも言えない位置に円が位置していることが見てわかるかと思います。
オブジェクトに沿って複写されるので、途中で折れ曲がったりすると複写位置が瞬間移動してしまうんですよね。
その点は注意が必要です。
まあ、どう沿わせるかはオプションで弄れますけどね。

ARRAYPATHコマンドはオブジェクトに有効なので、テキストにも使用可能です。
その為、部品の概形図作成やAutoCAD上で表を作成したい場合などに応用ができます。

ちなみに、ARRAYコマンドというものも存在します。
ARRAYコマンドでは配列複写のパターンを選択する必要があり、ARRAYPATHコマンドはARRAYコマンドにてパスに沿って配列複写するパターンを選んだ場合と同じ動きをします
つまり、ARRAYコマンドの手順を一つすっ飛ばしたコマンドがARRAYPATHコマンドです。

[arrays]は[配列]という意味で、[path]は[道・経路]という意味です。なので、 [ARRAYPATH]で[経路に配列する]の意になります。

3.ARRAYPATHの基本的な使い方

では、使い方の悦明をしていきます。
図1同様に円のオブジェクトを配列複写してみます。

①「ARRAYPATH」と入力してEnterキーを押す。
最初に複写したいオブジェクトを選択します。
オブジェクトは複数選択可能です。
選択したらEnterキーを押しましょう。
コマンド全般に言えますが、大文字小文字の区別は無いので、「arraypath」で構いません。
複製したいオブジェクトを選択してから「arraypath」と入力してEnterキーを押しても問題ないです。

②パスを選択する。
複写したいオブジェクトを沿わせたいパスを選びます。
ただ、円弧・ポリラインのように途中で途切れるタイプのオブジェクトの場合はパスのクリックする位置に注意が必要です。
クリックした箇所に近い末端部を複写の基点と認識する為、図2のようにポリラインの左の方をクリックした場合と右の方をクリックした場合では複写のされ方が異なってしまうのです

図2

以降の説明では見た目的にわかりやすい左の方をクリックしたとします。

③複写間隔を設定する。
デフォルトの設定に応じてオブジェクトがパスに沿って複写されるので、複写の間隔を設定します。
この時、図3のようにパス(ポリライン)の始点に四角マーク、その近くに三角マークが表示されます

図3

この三角と四角のマークはそれぞれクリックしてドラッグすることで以下のような効果を得られます。

四角

パスに沿って複写するオブジェクト群の行数を増減させることができる。

三角

複写するオブジェクトの間隔を調整できる。

調整が完了したらEnterキーで決定するとコマンドが終了します。

ARRAYPATHコマンドで配列複写したオブジェクトは勝手にグループ化されるので、場合によってはブロック化を解除して使いましょう。
テキストを配列複写した場合、ブロック化を解除しないとテキストの編集できないですからね。

※ オプションで最初からブロック化しないように設定可能だったりする。

4.ARRAYPATHのコマンドオプションについて

コマンドを入力すると、オプション項目がしれっと表示されます。
このオプションで具体的に何をできるのかを分かる範囲で簡単にまとめてみました。
※ 大体調べて説明を読んでもわからないので、自分で使ってみての解釈を書いています。

ARRAYPATHコマンドの場合、配列複写したいオブジェクトを決定したタイミングでオプションが表示されます

オプションの種類は自動調整(AS)・方式(M)・基点(B)・接線方向(T)・項目数(COU)・行数(R)・レベル数(L)・項目を位置合わせ(A)・Z方向(Z)・終了(X)です。
無駄に多いです。
それぞれ()内のキーを入力してEnterキーを押せばオプション変更が可能です。
オプションを直接クリックしても反応します。

自動調整(AS)

配列複写したオブジェクトをブロック化するかどうかを指定できる。
“Y”と“N”の選択肢があり、“Y”を選ぶとブロック化、“N”を選ぶと一つ一つのオブジェクトがバラバラになります。
「ブロック化の解除は後からでも可能」、「ブロック化しておくと後から行数・列数の調整が可能」という点を考慮すると、とりあえず“Y”にしておくのが無難です。

ブロック化について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。

【AutoCADの手引き】 ブロック化の方法
AutoCAD用の人的なメモ・ヘルプです。私が使用しているのは「Autodesk AutoCAD LT 2019」です。使用バージョンによってやり方が異なる可能性があるので注意です。この記事は、私が過去に困った際の解決方法をまとめています。今回はブロック化の方法についてです。
方式(M)

パスに沿って配列複写する方法を指定できる。
ディバイダ(D)メジャー(M)の2タイプがある。

ディバイダ(D)

パス全体の長さに対して項目数(COU)で設定した数だけ等間隔に配置する。

メジャー(M)

オブジェクト間に指定した間隔を空けるようにして配列複写する。

ちなみに、ディバイダを選択すると基本的な使い方で説明した複写間隔を設定する為の三角マークが消えます。

基点(B)

配列複写するオブジェクト群の基点を変更する。
元々パスの開始点を基点としているのですが、任意の点をクリックすると基点がズレます。
図4のようなズレ方をします。

図4

クリックした点から元の基点へ向けて各オブジェクトが移動するようになるわけですが、言葉ではイメージが難しいので実際に動かしてみるのが良いと思います。
また、基点(B)オプションの中にキー点(K)というオプションがあるのですが、これを選択した状態で複写配列しているオブジェクト群をクリックすると、複写の大元となっているオブジェクトとパスの始点が位置合わせされます。

接線方向(T)

パスの基点に対する接線方向を指定することで位置合わせをする。
2点を選んで位置合わせをするのですが、言葉で全く説明できる気がしないので図5を見てください。
こんなことができます。

図5

法線(N)というオプションがありますがZ方向が関わってくるのは3DCADなので、2DCADしか使わない私には詳しい説明ができません。
使うことがあったら内容を更新すると思います。
以降も3Dの機能が出てきたら無視しますので悪しからず。

項目数(COU)

オブジェクト間距離と配列複写するオブジェクトの個数を指定する。
オブジェクト間の距離を入力→Enterキー→配列複写するオブジェクトの個数を入力→Enterキーという手順でオブジェクト間距離と配列複写するオブジェクトの個数を指定します。
個数設定時にパス全体を埋める(F)というオプションが出てくるのでこれを選択すると、指定したオブジェクト間距離においてパスに配置可能な最大数が自動で選ばれます。
言葉通りパス全体を埋めてくれるわけですね。

また、オブジェクト間距離及び配列複写するオブジェクトの個数設定時に表示される式(E)というオプションを選ぶことで数値ではなく数式を入力することもできます。

行数(R)

行数と行間距離を指定する。
行数を入力→Enterキー→行間距離を入力→Enterキー→行間の高さの増分値という手順で行数・行間距離・行間の高さの増分値を指定します。
行間距離に関しては合計(T)というオプションがあります。
名称通り行間距離の合計値を指定して各行間距離を逆算して整列させることが可能です。
例えば、4行になっていると行間は3箇所あるので、合計(T)オプションで“15”と入力すると行間距離が“5”になります。
行間の高さの増分値はおそらく3DCAD用の機能なので説明は無しです。

レベル数(L)

複写配列を2Dと3Dどちらで行うか指定する。
“2”なら2D、“3”なら3Dになります。

項目を位置合わせ(A)

パスに対して複写されるオブジェクトを平行に位置合わせするかどうかを指定する。
これまでの説明では位置合わせがされていたので、ポリラインで折れ曲がる度に複写されるオブジェクトの位置が瞬間移動していました。
ここで位置合わせをしないように設定すると、オブジェクトが連続して繋がるようになります。
位置合わせした場合はパスに対して平行になるように沿わせてオブジェクトの複写ができる、位置合わせしない場合はパスの上をなぞるような軌跡でオブジェクトの複写ができる、と言えます。
図6で違いのイメージができると良いのですが…。

図6
Z方向(Z)

複写元のオブジェクトのZ方向を維持するか、3Dパスに沿って傾けるか指定する。

終了(X)

コマンドを終了します。
何もオプションを選んでいない状態でEnterキーを押すとコマンドは終了するので、意味があるオプションなのかは不明。

以上、ARRAYPATHコマンドの使い方についてでした。