今回は、「コンデンサの特性(セラミックコンデンサの温度特性)」についての説明です。
1.セラミックコンデンサの分類と温度特性の関係
セラミックコンデンサは、公的な規格でClass1(温度補償用積層セラミックコンデンサ/低誘電率系積層セラミックコンデンサ)、Class2(高誘電率系積層セラミックコンデンサ)という分類になっています。
低誘電率/高誘電率とあるように、使用している誘電体に大きな違いがあるんですね。
例を挙げると、Class1は酸化チタン系の誘電体、Class2はチタン酸バリウム系の誘電体などを使用しています。
この分類ですが、実は温度特性にも大きく関わってきます。
普通、コンデンサには“○○μF”という具合に静電容量が設けられていますよね?
なのですが、セラミックコンデンサの場合、種類によっては温度変化と共に静電容量が大きく変化してしまいます。
この静電容量の温度特性ですが、どの程度変化するのかを表す記号が存在します。
2.セラミックコンデンサの温度特性を表す記号
セラミックコンデンサの温度特性を表す記号は、JISとEIAによって定められています。
先程述べたように、Class1とClass2で特性が大きく違います。
比較的見かけることの多い温度特性記号は以下のようなものがあります。
※ あくまで参考値です。
JIS記号 | EIA規格 | 使用温度範囲 [℃] | 温度係数 [ppm/℃] |
---|---|---|---|
CG | C0G | -55~+125 | 0±30 |
CH | C0H | -55~+125 | 0±60 |
CJ | C0J | -55~+125 | 0±120 |
CK | C0K | -55~+125 | 0±250 |
UJ | U2J | -55~+125 | -750±120 |
UK | U2K | -55~+125 | -750±250 |
SL | - | -55~+125 | -1000+350 |
JIS記号 | EIA規格 | 使用温度範囲 [℃] | 静電容量変化率 [%] |
---|---|---|---|
B | - | -25~+85 | ±10 |
- | X5R | -55~+85 | ±15 |
- | X6S | -55~+105 | ±22 |
- | X7R | -55~+125 | ±15 |
- | X7S | -55~+125 | ±22 |
- | X7T | -55~+125 | +22,-33 |
F | - | -25~+85 | +30,-80 |
- | Y5V | -30~+85 | +22,-82 |
Class1がppmという単位を使用しているので、意味を汲み取りにくいかもしれませんね。
ppmは100万中どの程度なのかを表す単位のことです。
例えば、1ppmなら100万分の1を表しているわけです。
つまり、1000ppm/℃なら、1℃当たり0.001%しか静電容量が変化しないということです。
よって、Class1に分類されるセラミックコンデンサはほとんど温度が変化しないのです。
そうやって比較してみると、Class2の静電容量の変化率はClass1と比べて大分エグいことがわかりますね。
ちなみに、温度係数及び静電容量変化率は、使用温度Tの時の静電容量CT、基準温度T0の時の静電容量CT0から以下のように求められます。
こうして求めた温度係数及び静電容量変化率が表内の値の範囲に収まっている必要があるのです。
3.Class1とClass2のセラミックコンデンサの特徴の違い
最後にClass1とClass2のセラミックコンデンサの特徴の違いを簡単にまとめておきます。
※下図の横軸は温度です。
Class1 | Class2 | |
---|---|---|
温度による容量変化 | 変化しにくい | 変化しやすい |
誘電率 | 低い | 高い |
容量 | 小さい | 大きい |
容量が小さい代わりに温度による静電容量の変化を抑えられるのがClass1、容量が大きい代わりに温度による静電容量の変化が激しくなるのがClass2ということです。
特徴は正反対なので、うまく使い分けましょう。
以上、「コンデンサの特性(セラミックコンデンサの温度特性)」についての説明でした。