今回は、「FRグレード」についての説明です。
1.プリント基板の材料とグレード
プリント基板は、樹脂でできた絶縁性の板の上に銅箔を配置して回路を形成(プリント)したものです。
ですが、“樹脂”と言われてもどんな“樹脂”なのかわからないですよね。
金属に銅・鉄・アルミニウムといった違った特性を持つ種類が存在するように、樹脂にも様々な特性を持った種類が存在しますから。
そこで、プリント基板の材料をとあるグレードごとに表した指標が存在します。
それがFRグレードです。
今回は、プリント基板のグレードを表すFRグレードについて解説していきます。
2.FRグレードとは?
FRグレードとは、英語で[Flame Retardant grade]と書きます。
直訳すると[難燃性グレード]になります。
つまり、樹脂を難燃性(耐熱性)によってグレード分けしたものがFRグレードです。
グレードはFR-1~FR-6という形で表され、数字が大きくなるほど難燃性が高くなります。
要するに、グレードが高いほど燃えにくくなるのです。
FRグレードはアメリカの規格であるNEMA規格[National Electrical Manufacturers Association(アメリカ電機工業会)]や日本の規格であるJIS規格で規定されています。
ただし、FR-○という表示形式はNEMA規格で定められたもので、JIS規格の場合は実際の材料であるPP(ポリプロピレン)やGE(ガラスエポキシ)の後ろに識別記号のようなもの(これが難燃性を表している)を付けて表現します。
JIS規格で定められた形式だとパッと見でグレードが高いのか低いのか見分けづらいです。
だからというわけではないと思いますが、NEMA規格のFR-○という形式の方が一般的です。
ちなみに、FR-6に関しては一時的に規定されていたもので、現在は規格から抹消されているようです。
3.FRグレードの詳細
FRグレードごとの使用樹脂材料や呼び名の一覧表を以下に示します。
NEMA規格表記 | JIS規格表記 | 基板の材料 | 材料の性質 | 一般的な名称 |
---|---|---|---|---|
FR-1 | PP7F | 紙基材フェノール樹脂 | 一般的な絶縁性あり | 紙フェノール基板 |
FR-2 | PP3F | 紙基材フェノール樹脂 | 高度な絶縁性あり | 紙フェノール基板 |
FR-3 | PE1F | 紙基材エポキシ樹脂 | - | - |
FR-4 | GE4F | ガラス布基材エポキシ樹脂 | 一般的な耐熱性あり | ガラス・エポキシ基板 FR-4基板 |
FR-5 | GE2F | ガラス布基材エポキシ樹脂 | 高度な耐熱性あり | ガラス・エポキシ基板 |
FR-6 | - | ガラスマット・ポリエステル | - | - |
4.FRグレード以外の基材について
大体FRグレードで定められた基材を用いてプリント基板は作られていますが、例外もあります。
中でもよく目にするであろう基材について少し補足説明をしておきます。
他にも調べると様々な基材の情報が出てきますが、大体ここで説明した基材について知っておけば困ることは無いかと思います。
以上、「FRグレード」についての説明でした。