今回は、『処置』と『措置』の意味の違いについてです。
基本的に結論だけ見ておけば知りたいであろう内容は載っていると思います。
より詳しく、雑学として知っておきたい場合は以降の項にも目を通してみましょう。
1.結論
「処置」は直面した問題に対してその場面で出来得る範囲で完結させる行動、「措置」は直面した問題を根本的に解決するために最後まで取る行動です。
一時的に対応するか、必ず最後まで対応するかという違いと考えましょう。
2.辞書から考える
まずは「処置」の意味です。
[名](スル)
引用:weblio国語辞典 デジタル大辞泉
1 その場や状況に応じた判断をし手だてを講じて、物事に始末をつけること。「適切に―する」
2 傷や病気の手当てをすること。「虫歯を―する」「応急―」→処分(しょぶん)[用法]
次に、「措置」の意味です。
[名](スル)
引用:weblio国語辞典 デジタル大辞泉
1 事態に応じて必要な手続きをとること。取り計らって始末をつけること。処置。「万全の―をとる」「適当に―する」
2 安んじていること。また、物事をそのままに打ち捨てておくこと。「夷艦渡来の後…幕吏これを―するが故に天下騒然として」〈染崎延房・近世紀聞〉
「措置」の意味に「処置」と書かれてしまっていますね。
よくある辞書だと意味が同じ扱いになっているパターンです…。
3.漢字から考える
辞書の意味からは判断できないので、「処置」と「措置」という漢字から違いを見出せないか考えていきます。
「処」という漢字は、[その場に身を置いて、それに応じた行動をとる]という意味を持ちます。
それに対して「措」という漢字は、[差し置く・除く・安定するように置く]という意味を持ちます。
「処」はわかりやすいのですが、「措」の意味が何とも言えないですね。
これだけでは判断できそうもないので、別の視点から考えます。
4.実際の使用ケースから考える
「処置」という言葉から連想する言葉として、「応急処置」が挙げられます。
「応急処置」というと、救急車に乗ってくる救急隊員が行う適切な医療行為のことです。
病院に送る前に最低限の止血をしたりといった行動ですね。
この「応急処置」は、一時的な対応です。
先程の「処」の意味を思い返してください。
その場における行動をとることを指していましたよね?
その意味通り、現場でできる行動を取るのです。
病院に送ってからの本格的な治療行為は含まないんですよ。
あくまで、その場でできることを完結させるのです。
※現場に居合わせた一般人が取るのは「応急処置」ではなく「応急手当」です。
逆に、怪我や病気に対して「措置」と言った場合、根本的な解決策を指しています。
怪我をして血が止まらないのなら、心臓に近い箇所を圧迫して出血量を抑えるのが「処置」で、病院に連れて行って手術して傷を塞ぐのが「措置」です。
熱中症で倒れたなら、水分や塩分を摂取させて日陰で休ませるのが「処置」で、病院に連れて行って点滴を打つのが「措置」です。
違いはわかりましたでしょうか?
「措置」は最後まで治療させているんですよ。
つまり、「処置」は直面した問題に対してその場面で出来得る範囲で完結させる行動、「措置」は直面した問題を根本的に解決するために最後まで取る行動ということです。
「処置」だと最後まで行うとは限らないんですね。
以上、『処置』と『措置』の意味の違いについてでした。