【基礎から学ぶ電気回路】 電流計と電圧計の原理 ~なぜ電流計は直列・電圧計は並列に繋ぐのか?~

電気電子
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電気電子系は難しいイメージを持たれがちですが、基本から順番に抑えていけばそれほど難しいものではありません。
どんな分野にも言えることですが、最初はよくわからないものですから。
本記事では、電気初心者の方でもわかりやすいように、電気回路を理解するための基本中の基本から順を追って解説していきます。
まずは、直流回路についてです。

今回は、「電流計と電圧計の原理と電流計は直列・電圧計は並列に繋ぐ理由」についての説明です。

1.初めに

小学校・中学校くらいの授業で、電流計と電圧計を使用したことがあるかと思います。
その時に、電流計は回路に直列に繋ぐ電圧計は回路に並列に繋ぐと習ったはずです。

ですが、なんでそのような接続にするのかは習っていないのではないでしょうか?

今回は、電流計と電圧計が何を測定しているのかを説明しつつ、なぜ直列・並列に繋ぐ必要があるのかを解説していこうと思います。

2.電流計を直列に繋ぐ理由と理想的な内部抵抗

電流計は、実際に電流計内を流れる電流を測定します。
厳密には、電流計に流れた電流が発生させた磁界を利用して指針を回転させる構造になっています。
要するに、大きな電流が流れるほど指針が回転するように設計してあるんです

例えば、0.2[A]の電流が流れた際には指針が20°回転するようにメモリ表示をしておけば、0.4[A]で40°回転、0.6[A]で60°回転という具合に認識できるわけです。

電流計に流れた電流に比例して指針が回転するわけなので、電流計は直列に繋いで使用するのです。
測定回路に流れる電流をそのまま電流計に流してあげれば良いわけですからね。

電流計の回路記号(図記号)は〇の中にAと書かれたものになっていますが、実際は内部抵抗が存在します。
その為、抵抗Rに電源電圧Eを印加している単純な回路の電流を電流計で測定しようとした場合、接続回路は以下のようになります。

図1

要は、本来の測定回路の抵抗値はRだったのに、電流計を使うことで測定回路の抵抗値はR+rになってしまうのです。

するとどうなるのかというと、オームの法則より、回路に流れる電流がE/(R+r)になってしまうことがわかります。
電流計を繋いでいない場合は内部抵抗rが存在しないので、回路に流れる電流はE/Rです。
つまり、電流計の内部抵抗が大きければ大きいほど、本来回路に流れている電流よりも電流値が小さくなって測定されてしまうのです。
その為、電流計の内部抵抗は0になるのが理想的と言えます。
まあ、完全な0にはできませんけどね。

3.電圧計を並列に繋ぐ理由と理想的な内部抵抗

電圧計の構造は、実は電流計と同じになっています。
つまり、電圧を測っておらず、電流を測っています。

では、なぜ電圧計として機能しているのかというと、電圧計に流れた電流と電圧計の内部抵抗からオームの法則を使って電圧を導き出しているからです

例えば、内部抵抗が1[kΩ]の電圧計に0.2[mA]の電流が流れた際に指針が20°回転するようになっていたとすると、その20°回転した地点は1[kΩ]×0.2[mA]=0.2[V]の電圧が印加されていることを表しているのに等しくなりますよね?
同様に、0.4[mA](0.4[V])で40°回転、0.6[mA](0.6[V])で60°回転という具合に認識できるわけです。
なので、その位置に合わせた電圧表示用の目盛りを用意すれば良いだけなんですよ。

では、電圧を測定したい回路があったとして、電圧計をどのように繋げば良いと思いますか?
電流計の時は電流計自体に流れる電流を測定回路の電流と合わせれば良かったのですが、電圧計は勝手が違います。
仮に、測定回路と直列に繋いだとします。
※電圧計の回路記号(図記号)は〇の中にVと書かれたものになります。

図2

この時、内部抵抗r=Rだった場合、電圧計にはE/2Rの電流が流れるので、電圧計の示す値はR×E/2R=E/2となります。
また、内部抵抗r=2Rだった場合、電圧計にはE/3Rの電流が流れるので、電圧計の示す値は2R×E/3R=2E/3となります。
この接続だと、測定できているのは電圧計の内部抵抗にかかる電圧であって、測定回路にかかる電圧ではないんですよね

では、どうすれば良いのかと言うと、並列接続すれば良いのです。

図3

この接続の場合、測定回路には常にEの電圧が印加されています。
この時、内部抵抗r=Rだった場合、電圧計にはE/Rの電流が流れるので、電圧計の示す値はR×E/R=Eとなります。
また、内部抵抗r=2Rだった場合、電圧計にはE/2Rの電流が流れるので、電圧計の示す値は2R×E/2R=Eとなります。
つまり、並列接続なら電圧計の内部抵抗に関わらず、測定回路の電圧を算出できるのです。
これが電圧計を並列接続する理由です。

ただ、一点問題があります。
確かに電圧の測定結果は内部抵抗に依存しないのですが、回路全体に流れる電流は内部抵抗に依存するんです
具体的には、電圧計の内部抵抗が小さいほど無駄に電流が流れるようになってしまいます

例えば、内部抵抗r=Rだった場合、回路全体には2E/Rの電流が流れます。
それに対して内部抵抗r=R/10だった場合、回路全体には11E/Rの電流が流れます。

図4

電圧計の内部抵抗が小さいと飛躍的に回路全体に流れる電流が上がってしまうでしょう?
その為、電圧計の内部抵抗は無限大になるのが理想的と言えます。
実際のところはなるべく大きくするということですね。

以上、「電流計と電圧計の原理と電流計は直列・電圧計は並列に繋ぐ理由」についての説明でした。