今回は、「同軸ケーブル」についての説明です。
1.同軸ケーブルとは?
一言でケーブルといっても、種類は多々あります。
例えば、以下のような名称のケーブルなどがあります。
- キャブタイヤケーブル
- フラットケーブル
- FFC(フレキシブルフラットケーブル)
フラット(=平らな)ケーブルなんかは名称からどんなケーブルなのか想像できますが、キャブタイヤケーブルのように名称からどんなケーブルなのか想像できないケーブルも結構あります。
ということで、今回は同軸ケーブルについてまとめてみました。
同じ軸のケーブルとか言われても意味不明ですからね。
一度意味を知れば納得しますけど。
同軸ケーブルとは、英語で[coaxial cable]と書きます。
コアキシャルケーブル…読みづらいですね。
同軸ケーブルは、映像などの情報を伝達する際に使用される通信ケーブルのことです。
つまり、テレビやカメラ・アナログ放送・地デジ・無線の受信など高周波帯域の通信に用いられています。
その為、ノイズの影響を受けにくく安定した信号を送ることが可能といった特徴を持ちます。
ちなみに、ただ単に同軸ケーブルと呼ぶのではなく、「ポリエチレン絶縁高周波同軸ケーブル」・「ポリエチレン絶縁ビニルシース同軸ケーブル」など仰々しい名称になっていることが多いです。
結局のところ高周波に向いていて絶縁性能が高いと言っているだけなので、同軸ケーブルの特徴を復唱しているのと変わらないですけどね。
同軸ケーブルは特性インピーダンスというものが定められていて、50Ωか75Ωのどちらかに定められています。
主流は75Ωのようです。
あまり深く考えずに高周波信号を効率よく伝えるためには必要な措置なんだと頭の片隅に置いといてください。
結局なんで同軸ケーブルと呼ぶのかこの時点ではわかりませんが、次の構造の説明ではっきりさせていきます。
2.同軸ケーブルの構造と同軸ケーブルと呼ばれる所以
同軸ケーブルの基本構造は、図1のようになっています。
①導体を②絶縁体で囲んで、その外を③導体編組線で覆って、最外部を④シース(保護被覆)で保護してあります。
①導体→②絶縁体→③導体→④絶縁体とミルフィーユみたいな構造になっているということです。
信号の伝達は中心の①導体と編組線の③導体で行われていて、③の導体には外乱から①の内部信号を保護する効果があります。
この構造が同軸ケーブルの“ノイズの影響を受けにくく安定した信号送る”という特徴に繋がっているわけです。
電波信号の減衰防止にもなるらしいです。
肝心の同軸ケーブルと呼ばれる理由についてですが、断面図に注目してください。
導体と絶縁体の層ができているわけですが、全て円状で同心円(中心点が同じ円)になっていますよね?
つまり、円の中心という同じ軸に対して円状に何層も重ね合わされた構造をしています。
だから同軸ケーブルです。
結構単純なネーミングだったんですね。
同軸ケーブルの“基本”構造の説明をしましたが、“基本”と付いているのには理由があります。
“基本”は4層なのですが、より性能を高めるために③の外部導体編組が2層になっていたり、②の絶縁体の外側にアルミ箔のテープが巻かれていたりする場合があります。
同心円状になっていることには変わりはありませんが、層数は色んなパターンがあると覚えておいてください。
3.同軸ケーブルの型式
ケーブルの型式というと結構メーカによってフリーダムに設定されているイメージがありますが、同軸ケーブルに関してはJIS規格表記があるので大体それに則っています。
大体なので微妙にオリジナルを織り交ぜられている場合もありますけどね。
型式は次のようになります。
①-②③-④⑤
①:用途
→DIGITAL:デジタル通信・インターネット用
→S:BS/CS 衛星放送用
→無表記:その他
②:ケーブル外径・最外部のシースの直径
③:特性インピーダンス
→C:75Ω(テレビ用など)
→D:50Ω(無線用など)
④:絶縁体の種類
→2:充実ポリエチレン
→F:発砲ポリエチレン
→HF:高発泡ポリエチレン
⑤:外部導体編組線のタイプ
→B:アルミ箔テープ付き銅編組
→V:単層(一重導体編組)
→W:編組二重(二重導体編組)
→BL:編組三重(何故か三重導体編組という表記はされない模様)
例)ケーブル外径5mm・特性インピーダンス75Ω・充実ポリエチレン・単層
5C-2V
基本的に層が増えるほど広帯域・高シールド性能になると覚えておきましょう。
ちなみに、C形ケーブル・D形ケーブルといった表記があった場合、それは同軸ケーブルの特性インピーダンスが75Ω(③がC)のものと特性インピーダンスが50Ω(③がD)のものを指しています。
何の脈拍も無くC形・D形と書かれている場合が結構あるので、覚えておくといつか困惑しないで済むかもしれません。
以上、「同軸ケーブル」についての説明でした。