今回は、「返送用封筒の“行”・“宛”の直し方」についてです。
1.初めに
物品を注文した際、受領書にサインをして返送を求められる場合があります。
そんな場合、返送用の住所が既に記載された封筒が同梱されているのが普通なのですが、この封筒をそのまま利用すると失礼にあたるとご存じでしょうか?
ぶっちゃけそんなところまで細かくチェックして評価してくる人間なんて見たことがありませんが、一応マナーとして推奨されているルールが存在します。
どんなルールかと言うと、「宛先の“行”や“宛”の部分を修正する」というものです。
下図のような封筒が入っていたとしたら、“行”の部分に自分で修正が必要なのです。
今回は、そもそも何でそんな修正が必要なのかという点と、実際にどのように修正すれば良いのかを簡単にまとめていきたいと思います。
様、御中、各位、殿などの使い分けについては別途まとめてあるので、ついでに以下の記事も確認しておくと良いかもしれません。
ちなみに、返送用のはがきや、友達からの結婚式の招待状なんかも同様に“行”・“宛”を修正するようになっていることがあります。
2.何故“行”・“宛”が付いているのか?
返送用封筒の修正内容については後で説明しますので、まずは『なんで修正ありきで“行”・“宛”なんか付けてるの?』という部分から説明していきます。
絶対に修正が必要になるのなら、そもそも最初から修正が不要な形で封筒に記載しておけば良いだけの話ですからね。
では、どんな理由があって“行”・“宛”がくっついているのかと言うと、敬意を示すためです。
それだけです。
例えば、田中さんが鈴木さんから手紙を受け取り、その手紙に返送用の封筒がくっついていたとします。
…今のご時世紙の手紙なんて使いませんが、例なので気にしないでください。
この時、鈴木さんの住所と鈴木さんの名前が予め封筒に記載されているわけですが、「○○県××市~ 鈴木“様”」と書かれていたら田中さんの視点ではどうなっているのか考えてみてください。
鈴木さんが自分のことを様付けしているんですね。
自分で自分のことを様付けするというのは、マナーがなっていないというのはわかるでしょう?
敬語は相手を敬ったり自分を下げて使うものであって、自分を立てるために使うものでは無いですからね。
そんな矛盾を孕んでしまう為、慣例でへりくだった書き方にすることになっており、敬称を敢えて“行”や“宛”にしているのです。
鈴木“行”と書かれていたら敬語もクソもない雑な扱いになるでしょう?
だからこそ、“行”・“宛”の敬称を修正せずにそのまま封筒を送ってしまうと失礼にあたるのです。
鈴木さんを下に見たような扱いのまま返送してしまうわけですからね。
ちなみに、“行”が“行き”、“宛”が“宛て”と書かれている場合がありますが、どちらも間違いではありません。
3.“行”・“宛”の直し方
返送用封筒に“行”・“宛”と書かれたまま使ってしまうと失礼に当たるのはわかっていただけたかと思います。
なので、相手を下に見たような書き方は修正し、ちゃんと相手を敬った表現に直す必要があります。
どのように修正すれば良いのかと言うと、“行”なら“御中”、“宛”なら“様”に書き直しましょう。
“行”になっている場合は宛先がグループや組織になっていて、“宛”になっている場合は宛先が特定の人物を指しているはずです。
その返送する相手に合わせて適切な敬称を付けているだけというわけです。
もし仮に個人名の下に“行”と書かれていたら、それは純粋なミスとなります。
まあ、封筒に印字されているタイプが主だからそんなミスしないとは思いますけど…。
書き直す際は、“行”・“宛”の文字の上から二重線を引く必要があります。
縦書きの場合は縦二重線、横書きの場合は横二重線です。
この二重線は別に定規を使ってキッチリと引く必要は無く、普通にフリーハンドで問題ありません。
対応としては上記のみで大丈夫です。
他に余計なことをする必要はありません。
例えば、二重線付近に訂正印を押したり、二重線を使わずに修正液や修正テープを使ったりする必要はありません。
上記の対応はあくまでも相手へ敬意を表すことを目的としていますので、ミスを修正するような方法は寧ろやってはいけないのです。
返送用封筒に“行”・“宛”と書かれているのはミスではないのに、もしそんな対応をしてしまったら『ここ間違えていますよ?』と指摘するようなものですからね。
ちなみに、“行”も“宛”も書かれていない返送用封筒もあるにはあるらしいので、その時は返送先に適した敬称を自分で付け加えるようにしましょう。
私はそんな封筒見たことが無いですけどね。
以上、「返送用封筒の“行”・“宛”の直し方」についてでした。