今回は、「dBm/dBμ/dmu/dBVの計算」についての説明です。
1.dBmとは?dBμとは?
デシベル表示の中には、dBmやdBμという変わった単位があります。
仮に電圧の単位がdBmやdBμになっていたとします。
この場合、前者は1mVを0dBmと定義した時の電圧の単位、後者は1μVを0dBμと定義した時の電圧の単位を意味します。
こんな感じに基準を設けてあるのです。
言葉ではわかりづらいので、何個か例を挙げて説明していこうと思います。
『そもそもdBって何?』という方は先に以下の記事を読んでください。
2.dBuとは?dBvとは?dBVとは?
dBμという単位があるという話をしましたが、似たような見た目の単位としてdBuが存在します。
[μ(ミュー)]ではなく[u(ユー)]です。
dBuとは、音響機器で用いられることのある電圧(信号)の大きさの単位のことです。
厳密には、0dBを0.775Vと定義した時の電圧の単位がdBuとなります。
なので、0dBuは0.775Vということになります。
dBuと全く同じ単位としてdBvというものもあるのですが、dBvの他にdBV(民生機器で用いられる単位で、0dBV=1.0Vと定義)という単位も存在します。
見た目は小文字と大文字の差しかないんですよね。
その為、dBvだと非常に紛らわしいので、dBuが使われるようになったという経緯があります。
基本的にdBuの使用を推奨されていますが、dBvが使用されないというわけではありません。
ちなみに、0.775Vという数値は、600Ωの抵抗で1mWの電力を消費する際の電圧として定められています。
…なんで600Ωなんでしょうね?
3.実際の計算例①
問)100mVは何dBm?
電圧利得をGv、電圧増幅度をAvと置くと、電圧利得は以下のように表せます。
Gv=20log10Av
1mVの時が0dBmなので、20log10(1mV)=20log10(100mV)=0dBmというように考えます。
なので、100mVの場合は以下のように考えます。
20log10(100mV)=20log10(102mV)=40dBm
ということで、100mVは40dBmです。
4.実際の計算例②
問)100mVは何dBμ?
先程はdBmで表しましたが、今度はdBμで表してみましょう。
1μVの時が0dBμなので、20log10(1μV)=20log10(100μV)=0dBμというように考えます。
基本の考え方は同じなのです。
なので、100mVの場合は以下のように考えます。
20log10(100mV)=20log10(105μV)=100dBμ
ということで、100mVは100dBμです。
5.実際の計算例③
問)10dBmは何mW?
電力利得をGp、電力増幅度をApと置くと、電力利得は以下のように表せます。
Gp=10log10Ap
1mWの時が0dBmなので、10log10(1mW)=10log10(100mW)=0dBmというように考えます。
なので、10dBmの場合は以下のように考えます。
10=10log10(ApmW)
1=log10(ApmW)
Ap=101=10
ということで、10dBmは10mWです。
6.実際の計算例④
問)-10dBmは何mW?
次に、マイナスの場合を考えていきます。
まあ、考え方は変わりませんけどね。
-10=10log10(ApmW)
-1=log10(ApmW)
Ap=10-1=0.1
ということで、-10dBmは0.1mWです。
7.実際の計算例⑤
問)0.775Vは何dBu?
次はdBuの計算例です。
電圧利得をGV、電圧(実効値)をVrmsと置くと、電圧利得は以下のように表せます。
GV=20log10(Vrms/0.775)
しれっと電圧を実効値だと述べていますが、電圧増幅度に関しては総じて実効値となります。
電力比を示すために定義しているのに、一瞬の値であるピーク値なわけないですからね。
計算するまでもなく0.775Vの時に0dBuと定義されているので、答えは0dBuだとわかっています。
式に代入して確認すると、以下のようになります。
20log10(0.775/0.775)=20log101=0dBu
ということで、0.775Vは0dBuです。
8.実際の計算例⑥
問)1.0Vは何dBV?
最後はdBVの計算についても見ておきましょう。
電圧利得をGV、電圧(実効値)をVrmsと置くと、電圧利得は以下のように表せます。
GV=20log10Vrms
Vrmsに1.0Vを代入すると、以下のようになります。
20log101=0dBV
dBVはそもそも0dBV=1.0Vと定義されているので、それを確認しただけですね。
定義さえしっかり押さえておけばなんとかなるので、迷ったら定義を書き出すといいですよ?
以上、「dBm/dBμ/dmu/dBVの計算」についての説明でした。