今回は、「たんぱく質」についての説明です。
1.たんぱく質の基本
炭水化物・たんぱく質・脂質は三大栄養素と呼ばれ、生きていく上で特に重要な栄養素です。
たんぱく質は、筋肉・血・臓器・ホルモンなどの体を構成する主要素です。
血液中で酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンなんかもたんぱく質の1種です。
筋肉を付けたい人は筋トレだけでなくたんぱく質の摂取にも焦点を当てる必要があるので、プロテイン(※ たんぱく質の塊みたいなモノ、そもそも[protein]でたんぱく質という意味)を愛飲していたりしますよね。
人間の体は主に水で構成されていますが、次点に来るのがたんぱく質です。
それくらい重要な栄養素ということです。
また、生命維持・身体活動に必要なエネルギーにも密接な関係があります。
エネルギーは炭水化物・たんぱく質・脂質の三大栄養素からおおよその値が算出可能で、各成分は1g当たりの利用エネルギー量(エネルギー換算係数と言い、1[g]当たり何[kcal]に相当するかを定めてある)が決まっていて、以下のように表せます。
エネルギー[kcal]≒炭水化物[g]×4+たんぱく質[g]×4+脂質[g]×9
たんぱく質はアミノ酸が結合してできた物質で、摂取したたんぱく質は体内で消化されてアミノ酸に分解されます。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、人間は20種類中11種類のアミノ酸を他の栄養素や別のアミノ酸経由で体内で合成することができます。
ですが、残りの9種類(必須アミノ酸という)は食事をして直接摂取しなければ得られません。
その為、たんぱく質は意識して定量的に摂取する必要があります。
また、分解されたアミノ酸は吸収されて神経伝達物質やビタミンなどに変化する前段階の物質となったり、エネルギーとして消費されたり、たんぱく質として再合成されたり、尿素として体外に排出されたりと色々なことに絶えず使用されています。
絶えず使用されているということは常に体内に無いといけないので、1日当たりのたんぱく質の必要量を気にするのと同時に1食毎に万遍なく摂取することも意識する必要があります。
ちなみに、体内で合成できるアミノ酸(非必須アミノ酸)と体内で合成できないアミノ酸は(必須アミノ酸)は以下のようになっています。
非必須アミノ酸(11種類)
- グリシン
- アラニン
- グルタミン酸
- グルタミン
- セリン
- アスパラギン酸
- アスパラギン
- チロシン
- システイン
- アルギニン
- プロリン
必須アミノ酸(9種類)
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- スレオニン
- メチオニン
- リジン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
- ヒスチジン
2.動物性たんぱく質と植物性たんぱく質
動物性たんぱく質、植物性たんぱく質ってよく聞きませんか?
動物性って言ってるから肉類など、植物性って言ってるから豆類などに含まれているという想像はできますが、結局何が違うのかはよくわからないと思います。
なので、簡単にまとめていきますね。
・動物性たんぱく質
動物由来のたんぱく質です。
食肉で言えば豚・牛・鶏・魚など、他には卵や乳製品が該当します。
《メリット》
・必須アミノ酸9種類を万遍なく含んでいるものが多い。
・吸収率が良い。
《デメリット》
・エネルギーの摂取量が多い。
必須アミノ酸は食事から摂取するしかないので、9種類(全種類)の必須アミノ酸を1度に摂取できるという点は大きなメリットです。
吸収率も植物性たんぱく質より高いです。
ですが、基本的に高たんぱく高脂質なので高カロリーとなり、必須アミノ酸を意識して動物性たんぱく質を摂取し過ぎるとカロリーの過剰摂取になります。
ファミレスのハンバーグなんか1個で脂質30、40gとかザラですからね。
じゃあ高たんぱく低脂質の鶏肉食べればいいじゃないと思うかもしれませんが、鶏肉は鶏肉でプリン体というものを多く含むので、過剰摂取で生活習慣病(通風、高血圧etc.)が待っています。
※ プリン体は私達に必要な物質です。過剰摂取が悪いだけです。
・植物性たんぱく質
植物由来のたんぱく質です。
大豆・穀物などが該当します。
《メリット》
・ビタミン・ミネラル・食物繊維も同時に摂取できる。
・低脂質。
《デメリット》
・必須アミノ酸の含有バランスが悪い。
・吸収率が若干悪い。
たんぱく質を摂取しながらビタミン・ミネラル・食物繊維といった不足しがちな栄養素も併せて摂取することができます。
つまり、健康志向・栄養豊富ということです。
ただ、動物性たんぱく質と比べて吸収率が悪いです。
また、必須アミノ酸の含有バランスが悪いので、充分なたんぱく質は摂取したものの必須アミノ酸の一部が足りていないといった現象が発生し兼ねません。
よく植物性たんぱく質はヘルシーだと言う人がいますが、高たんぱくの時点でそこそこのカロリーになるからヘルシーとは言えません。
ものにもよりますが、豆腐一丁で200[kcal]とか普通にありますから。
動物性たんぱく質も植物性たんぱく質もメリットもあればデメリットもあるので、結局は動物性たんぱく質も植物性たんぱく質もバランスよく摂取するのが一番ということです。
3.運動前と運動後どちらに摂るべき?
たんぱく質は筋肉を構成するので、筋トレや運動には欠かせないという話をしました。
では、運動前と運動後のどちらに摂るべきなのでしょうか?
答えは運動後です。
運動をして身体に負荷をかけると筋繊維が傷つきます。
傷ついた筋繊維は修復される過程でより強い筋繊維に生まれ変わります。
この修復作業に使われるのがたんぱく質です。
なので、運動前でも運動後でもたんぱく質を摂ってさえいればいいような気がしますが、実際は運動後の方が良いようです。
運動をしたことによりエネルギーの消費と筋繊維の損傷が発生するので、身体が一種の飢餓状態になり、たんぱく質の吸収率が上がります。
『運動後30分以内が良い』、『45分以内が良い』など諸説は色々ありますが、とにかく運動した後にしっかり栄養摂れという単純な話ですね。
ただ、運動前に栄養を摂ることが悪いというわけではありませんので、そこは勘違いしないようにして下さい。
例えば、朝起きたら空腹になっていますよね?
つまり、身体に栄養が足りていない状態になっています。
この状態でいきなり運動を始めた場合、運動をする為に足りない栄養は筋肉を分解することで捻出されてしまいますので本末転倒になります。
ケースバイケースで運動前後にたんぱく質(というか栄養全般)を摂るようにしましょう。
あ、当然ですけど軽い運動では負荷が足りないのでカロリー消費はできても筋肉はつきませんからね?
4.1日当たりのたんぱく質必要量
では、実際に1日当たり何[g]程度必要なのかについて考えていきます。
以下の表で年齢・性別を照らし合わせて自分の条件に合致する箇所を参照して下さい。
その数値が1日当たりのたんぱく質必要量[g]です。
表中の推奨量・目安量・目標量は以下のようなイメージです。
推奨量:1日に摂取したい量。単位は[g]。
目安量:目安量以上を摂取しておけば不足するということはない。単位は[g]。
目標量:生活習慣病予防の為に最低限摂取しておきたい量。エネルギーに対する%で表す。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢 | 推奨量 | 目安量 | 目標量 | 推奨量 | 目安量 | 目標量 |
0~5ヶ月 | - | 10 | - | - | 10 | - |
6~8ヶ月 | - | 15 | - | - | 15 | - |
9~11ヶ月 | - | 25 | - | - | 25 | - |
1~2歳 | 20 | - | 13~20 | 20 | - | 13~20 |
3~5歳 | 25 | - | 13~20 | 25 | - | 13~20 |
6~7歳 | 30 | - | 13~20 | 30 | - | 13~20 |
8~9歳 | 40 | - | 13~20 | 40 | - | 13~20 |
10~11歳 | 45 | - | 13~20 | 50 | - | 13~20 |
12~14歳 | 60 | - | 13~20 | 55 | - | 13~20 |
15~17歳 | 65 | - | 13~20 | 55 | - | 13~20 |
18~29歳 | 65 | - | 13~20 | 50 | - | 13~20 |
30~49歳 | 65 | - | 13~20 | 50 | - | 13~20 |
50~64歳 | 65 | - | 14~20 | 50 | - | 14~20 |
65~74歳 | 60 | - | 15~20 | 50 | - | 15~20 |
75歳以上 | 60 | - | 15~20 | 50 | - | 15~20 |
妊婦及び授乳婦は上表の値の推奨量にプラス補正が付きます。
子供の為にもいっぱい栄養を採ってあげて下さい。
妊婦(初期):+0、妊婦(中期):+5、妊婦(後期):+25、授乳婦:+20
詳しく知りたい場合は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を参照して下さい。
必須アミノ酸の必要量も書かれているのですが、現実的にそこまで調整するのは無理なので、そこに触れるのはやめときます。
5.たんぱく質を多く含む食品
ここまでの内容から、どの程度たんぱく質を摂取すれば良いかはわかったと思います。
なので、たんぱく質を多く含む食品について少し考えてみましょう。
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の話をした通り、食肉(豚・牛・鶏・魚など)・卵・乳製品・大豆・穀物などがたんぱく質を多く含んでいます。
よく100g当たりたんぱく質は〇〇gといったデータの羅列を目にしますが、調理方法・廃棄部位・個体差でいくらでも変動する為、詳しく考えるだけ無駄です。
なので、超大雑把にまとめました。
魚(加工品)・乳製品・豆腐・大豆・穀物なんかは買った商品の栄養成分表示を見れば良いからね。
超大雑把なたんぱく質量 | |
食肉(豚・牛・鶏) | 100g当たり20g |
卵 | 1個当たり6g |
大切なのは動物性・植物性たんぱく質をバランスよく摂取することです。
たんぱく質を多く含む食品のみ食べれば良いわけではないですからね。
強いて言うなら、他の栄養素も豊富な魚(特に青魚)・卵・大豆製品を摂る機会を増やすといいんじゃないかな?
以上、「たんぱく質」についての説明でした。