【基礎から学ぶ光電素子】 光電効果とは? ~物質に光を照射すると電子が飛び出す現象~

電気電子
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私たちの身の周りには、電気エネルギーと光エネルギーとの間で変換が可能な部品が存在します。
有名なものとしてはLED…発光ダイオードが挙げられます。
最近では電球型のLEDなんかも市販品として普及しているので、一般人でも手に取る機会は増えているかと思います。
そんなLEDですが、分類としては“光電素子”というものになります。
光電素子には様々な種類が存在しますので、その構造や動作などについてわかりやすくまとめていこうと思います。

今回は、「光電効果」についての説明です。

1.初めに

光と電気を変換する電子部品として光電素子というものが存在します。

LED・フォトカプラ・フォトダイオード・フォトトランジスタ…光電素子と言っても様々な種類が存在します。
これらの素子をうまく利用することで環境エネルギーである太陽光発電をしていたりします。

光電素子は、光エネルギーを電気エネルギーへ変換、電気エネルギーを光エネルギーに変換することが可能なわけですが、そもそもなぜそんなことができるのか気になりませんか?

ということで、光電素子についてまとめるに当たり、まずは光電効果について考えていこうと思います。

若干関連する内容を以下の記事にもまとめてあるので、電子の動きについて詳しくない場合は先にそちらも確認した方が良いかもしれません。

【電気電子の雑学】 電子放出と電界中・磁界中の電子の運動
本ブログには電気電子系の知識を備忘録的にまとめてあります。自分なりにカテゴリ分けをして何かしら共通点のあるWebページは連番になるようにまとめているのですが、どこにも分類されないものも当然存在します。本記事は、未分類ですが内容としては知っておきたいと思ったことについてわかりやすくまとめたものとなっています。今回は電子放出と電界中・磁界中の電子の運動についてです。

2.光電効果とは?

光電効果とは、物質に光を照射した際に電子が飛び出る現象のことです。
この飛び出た電子のことを光電子と呼びます。

通常、物質内の電子は物質外に出てくることはありません。
ですが、ある一定以上のエネルギーを与えると電子が物質外部に飛び出てきます。
この“ある一定以上のエネルギー”を光エネルギーで補った場合の現象が光電効果で、この効果を持つ素子が光電素子というわけです。

3.光電効果の性質

光電効果の性質には以下のようなものがあります。

①光は波と粒の性質を持つ。

②電子が飛び出すためにはある一定以上の周波数を持つ光が必要。
(電子が飛び出すためには一定以下の波長を持つ光が必要。)

③飛び出す電子の数は光の強さに比例する。

④飛び出す電子は光の強度によらない。

光エネルギーを与えると物質から電子が飛び出すというなら、普通に考えたら強い光を当てればより多くの電子が飛び出してきそうな気がしますよね?
ですが、実際のところいくら強い光を当てようが電子が飛び出ない時は飛び出ないです

電子が飛び出すか否かは周波数/波長に依存しています。
※光は波なので、強い光とは振幅の大きい波のことです。

光が波であるという考えだけではこの現象に説明がつきません。

そこで、光は波であるという従来の考えに加えて“光はエネルギーを持った粒(量子)の集団である”という仮説を立て、それを証明したわけです。
発想が頭おかしいですよね。

“光はエネルギーを持った粒(量子)の集団である”とした場合、「光エネルギーが大きくなる=粒が増えること」を意味します。
そう、増えるのは粒の“数”なんです。
一粒が大きくなるわけではないのです。

粒が増えたところで粒一つ一つが物質に与える力は変わりはしないので、強い光を当てたところで電子が飛び出ない時は飛び出ないのです。
大事なのは一粒の持つエネルギー量なのです

この説明だとまだちょっとわからないかもしれないので俗な例に置き換えてみますね。

HPが1しかないけど防御力が5あるモンスターがいて、与えるダメージの計算は防御力-攻撃力、攻撃力が防御力を上回らない場合はダメージは0になるとします。
この条件で攻撃力が1の仲間を5人集めてモンスターに挑んだとしてもダメージは与えられないのでモンスターを倒すことはできませんよね?
これが粒が増えようが電子は飛び出せない理由です。
仲間(粒)が増えても攻撃力(一粒のエネルギー)が足りないから意味ないのです。
だから、仲間を増やす(粒を増やす)のではなく一人に攻撃力を集中する(一粒の持つエネルギーを増やす)ことで防御を突破できる(電子が飛び出す)わけです

図1

肝心の一粒の持つエネルギーを増やす方法は、周波数を高くする(波長を短くする)ことです

図2のように周波数の低い光と周波数の高い光が物質に照射された場合、どちらの方が物質を揺さぶりそうですか?
周波数が高い方ですよね?
なんか激しく動いてますからね。
だから、ある一定以上の周波数を持たないと電子が飛び出してくれないのです。

図2

以下、雑学。

光電効果はかの有名なアインシュタインによって発表された理論です。
発表されたのは1905年で、この年は奇跡の年と呼ばれています。
奇跡の年には、光電効果の他に特殊相対性理論、ブラウン運動についても発表されています。
何れもアインシュタインが発表したものです。
発想が頭おかしいですよね。(2回目)

以上、「光電効果」についての説明でした。