今回は、「HDMI」についての説明です。
1.初めに
パソコンには色んなケーブルを挿すポートが存在しますよね。
最も一般認知されているのはUSBでは無いかと思いますが、次点でHDMIという名前を聞くことがあるのではないでしょうか?
今回は、HDMIとは何なのか、どんな種類が存在するのかなどを簡単にまとめていこうと思います。
2.HDMIとは?
HDMIとは、[High-Definition Multimedia Interface]の略称です。
意味は[精細度マルチメディアインターフェース]となります。
…なんのこっちゃですよね。
HDMIとは、映像・音声・その他制御信号などを一本のケーブルにまとめて伝送可能な通信規格のことです。
要するに、HDMIという決まり事に則って作られたコネクタ同士を繋ぎさえすれば、簡単に映像も音声も繋がるのです。
一昔前はDVI(※1)という規格がよく使用されていたのですが、DVIは映像を伝送する規格であり、音声は別のケーブルで伝送する必要がありました。
HDMIはこのDVIをベースにしていて、+αで音声や制御信号などもまとめて一本で伝送できるようにしたのです。
ケーブルが一本にまとまっている方が挿し忘れ・挿し間違え防止・省スペース化という具合に、何かと良いこと尽くしなのです。
TV・パソコン・ゲーム・ディスプレイなどの様々なデジタル機器にHDMI端子は搭載されているので、HDMIだと気付かずに普段使いしているという方も多いのではないかと思います。
HDMIはデジタル伝送なので、信号劣化が少なく、伝送できるデータ量が多いという利点があります。
また、HDCP(※2)という不正コピー防止用の技術も搭載されています。
強い。(確信)
DVIとは、[Digital Visual Interface]の略称です。
ビジュアル[視覚]に関するインターフェースです。
要するに、映像をデジタル信号として伝送するための通信規格のことです。
デジタル伝送のみ可能なDVI-D、デジタルとアナログどちらにも対応したDVI-Iが存在します。
どちらもデジタル信号には対応しているので、DVIなわけです。
PCとディスプレイを接続する際によく使用されていたのですが、昨今は音声やその他の制御信号もまとめて同時に伝送可能なHDMIが登場したので、あまり見る機会は無くなっています。
HDCPとは、[High-bandwidth Digital Content Protection]の略称です。
意味は[高帯域幅デジタルコンテンツ保護]になります。
要するに、映像データなどのデジタル信号を不正コピー防止するための著作権保護技術のことです。
DVIやHDMIといった映像を伝送する規格において、伝送するデータを暗号化しているのがHDCPです。
身近な例だと、デジタルテレビ放送なんかにHDCPが適用されています。
送信している最中のデータは暗号化されているので、仮にそれをコピーできたところで復号するための鍵が無いと意味を成さないということです。
3.HDMIコネクタの形状・タイプについて
HDMIは映像・音声・その他制御信号などを一本のケーブルにまとめて伝送可能な通信規格のことを指しています。
言い換えると、一本のケーブルで伝送可能なら、コネクタの形状が異なっていても何ら問題は無いんです。
HDMIのコネクタ形状の種類はUSBと似ていて、MiniとかMicroとかタイプなどが存在します。
どんなものがあるのかを簡単に記載していきますね。
4.HDMIのバージョン
どんな製品にも共通しますが、年を経ると技術が上がって何かと性能がアップしていきます。
HDMIも例に漏れず、時代の流れと共に進化を重ね、何度もバージョンアップを繰り返しています。
HDMIに関しては、バージョンが上がるごとに解像度や最大転送帯域速度などが改善されていきます。
大まかには以下のようにバージョンが上がっていっています。(解像度/最大伝送速度)
- HDMI 1.0(2002年)…1600×1200/4.95Gbps
- HDMI 1.3(2006年)…2048×1536/10.2Gbps
- HDMI 1.4(2009年)…4096×2160/10.2Gbps
- HDMI 2.0(2013年)…4096×2160(4K)/18Gbps
- HDMI 2.1(2017年)…7680×4320(8K)/48Gbps
HDMI 2.0からHDMI 2.1の間で一気に伝送速度が上がっていますね。
解像度に関しては、人間の視覚能力で差がわかる限界点が8Kなのでもう上がらないかもしれません。
10Kを目指す…というか達成しているっぽい記事も見たことはありますけど。
伝送速度は限界が無いのでどんどん上昇していくんでしょうね…。
5.HDMIケーブルの種類
HDMI 2.1なら8K/48Gbpsに対応しているというのはわかったと思います。
では、使用するケーブルが10Gbpsまでしか対応していなかったとすると、どうなると思いますか?
答えは、10Gbpsまでしか性能を発揮しなくなります。
HDMI 2.1の凄さを実感したいというのなら、ケーブルも良いものが必要なのです。
ということで、HDMIケーブルにも種類が存在します。
※ ここに示す解像度は上限です。大は小を兼ねています。(解像度/最大伝送速度)
- スタンダード…フルHD(1920×1080),HD(1280×720)/4.95Gbps
- ハイスピード…4K(4096×2160)/10.2Gbps
- プレミアムハイスピード…8K(7680×4320)/18Gbps
- ウルトラハイスピード…8K(7680×4320)/48Gbps
…ウルトラの次が出来たら一体何て名前になるんでしょうね?
ちなみに、ケーブルは長いほどノイズの影響を受けやすくなりますので、どうしても長いケーブルを使用したいのならノイズに強い種類のケーブルを選択するなどの対処が必要です。
6.ARCとHDMIの関係
HDMIは映像と音声をまとめて一本のケーブルで伝送できるわけですが、これだけだとある問題が浮上してきます。
それは、一方向の通信しかできないという点です。
例えば、ゲーム機をTVに接続した場合、ゲーム機からTVへとデータを一方的に伝送していますよね?
なので、この使い方の場合は普通にHDMIで問題無く通信ができます。
では、TVで受信している番組の音声データをオーディオ機器を通して再生したい場合、どうなるでしょうか?
通常のHDMIだとTVに向けてデータを伝送することはできるのですが、TVからデータを伝送することはできません。
つまり、HDMIではどうしようもないんです。
この場合、別途光ファイバケーブルなどを用意してそちらを経由してオーディオ機器に接続しなければならないのですが、HDMI⇔光信号への変換も必要になり、慣れていない方は何をどう繋げば良いのかわからなくなってしまいます。
そこで登場したのがARCです。
ARCとは、[Audio Return Channel]の略称です。
その名の通り、音声信号をリターンできるようになったことを表しています。
このARC規格に則ったHDMIケーブルを使用すると、双方向通信が可能になるんです。
TV→オーディオ機器の伝送も、オーディオ機器→TVの伝送も、どちらも問題無く行えるようになるのです。
もちろん両機器にHDMI端子が搭載されている必要がありますが、昨今の電子機器はHDMI端子を標準搭載していない方が珍しいので、そこに関してはあまり深く考える必要は無いでしょう。
ただ、ARC規格は光通信で別途音声信号を伝送する手間を無くすことはできますが、伝送速度がそこまで速くなく、最新の音声フォーマットには対応していないという問題があります。
そこで、最新の音声フォーマットにも対応させたeARCという規格も登場しています。
“e”は[enhanced(高めた)]のことなので、ARCより高性能になった規格を指しているわけです。
HDMIの説明でARCとかeARCという記述が出てきたら、『双方向通信に対応しているんだなぁ』と思っておきましょう。
以上、「HDMI」についての説明でした。